第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

リンパ

Thu. Oct 30, 2014 5:22 PM - 6:10 PM 第4会場 (203会議室)

座長: 廣田彰男(医療法人社団 広田内科クリニック), 新本春夫(榊原記念病院 末梢血管外科)

5:22 PM - 6:10 PM

[O-7-1] がん終末期リンパ浮腫に対する治療戦略

秋山芳伸 (国家公務員共済組合連合会立川病院)

Keywords:leg lymphedema, cancer terminal stage

【はじめに】下肢リンパ浮腫は終末期の患者のADL及びQOLを低下させる大きな原因となるが,治療,ケアにおいては薬物療法や通常の圧迫療法の有効性は低い。がん終末期に認められた下肢リンパ浮腫症例の原因,治療およびケアについて考察した。【症例1】結腸癌術後再発,癌性腹膜炎,腹水貯留,両下肢浮腫。腹腔内リンパ節転移が原因と考えられるリンパ浮腫に対し,弾性ストッキングによる圧迫施行したが,自宅療養中に不適切な圧迫から皮膚損傷,リンパ瘻を発症した。【症例2】膵癌術後,癌性腹膜炎。腹水貯留,腹部リンパ節転移による下肢リンパ浮腫に対し弾性包帯による圧迫治療施行。下肢の浮腫の軽減が認められたが,陰部浮腫の増悪が認められた。【症例3】直腸癌術後再発骨盤内再発,両下肢浮腫に対しマッサージ及び筒状包帯を用いて下肢圧迫療法を施行。下肢の浮腫は軽減,陰部浮腫の悪化も認められなかった。【症例4】直腸悪性黒色腫再発,両下肢浮腫に対し弾性包帯にて下腿のみ圧迫治療施行。浮腫の著明な改善を認めた。【考察】リンパ浮腫は,浮腫による下肢の体動困難や皮膚の緊張痛といった身体的苦痛のみならず外観の変化といった精神的苦痛をともなう病態である。特に終末期では全身状態の悪化に伴い著しくADL,QOLを低下させる。原因はリンパ節再発,悪液質やネフローゼ症候群,過剰輸液と種々の病態が混在しており,弾性包帯や弾性着衣による圧迫や積極的徒手ドレナージは患者に負担となるだけでなく苦痛を与える場合があり,事例ごとに適切なケアを選択する必要がある。緩和的マッサージおよび筒状包帯を用いた圧迫法は簡便であり,ADLの改善およびQOLの向上に有効であった。