大動脈解離

[O-9-1] J graft open stent graftを用いた大動脈解離手術

^〇内田直里¹, 片山暁², 望月慎吾¹, 古川智邦¹, 山田和紀¹ (1.あかね会 土谷総合病院 心臓血管外科, 2.広島市立安佐市民病院 心臓血管外科)

Keywords:aortic dissection, stent graft

【目的】J graft open stent graft(JOSG)は，胸部大動脈手術に対するオープンステント手術用に本邦で製品化されたステントグラフトである。JOSGはナイチノール製の単一ワイヤーによる独自の編み構造により，従来のZステントを基本構造とした自作デバイスと比較して，大動脈内膜損傷の軽減と弓部大動脈への追従性の向上が期待される。そこでJOSGを用いた大動脈解離手術の臨床経験をもとに有効性について報告する【方法】2008年から2014年までに大動脈解離に対してJOSGを用いたオープンステント手術8例を対象とした。年齢は54歳から74歳(平均58.5歳)，男性5例。急性A型大動脈解離3例，慢性A型大動脈解離1例，慢性B型大動脈解離4例。解離発症から手術までの期間は，3日以内3例，3週～3か月3例，3～6か月2例。全例オープンステントに弓部全置換術を併設した。JOSGのサイズは，術前CTから左総頸動脈分岐部から第6胸椎レベルの距離を予定治療長として，また大動脈外径の90％を予定JOSG径として算出した。【結果】使用グラフト径は25～33mm(平均27.8)，ステントグラフト長は9～12cm(平均9.7)であった。在院死亡0例，脳合併症0例，脊髄障害0例，呼吸器合併症1例，敗血症1例であった。退院前のCTで全例ステントグラフト部の偽腔血栓化を認めた。術前CTで偽腔短径20mmが，退院前の血栓化偽腔厚10.3mm，12か月後3.4mmと偽腔の退縮を認めた。術後観察期間は1から72か月で，大動脈事故および死亡は認めていない。【結論】大動脈解離に対して発症後6か月以内に施行したJOSGによるオープンステント手術は，慢性期までaortic remodelingを含めて慢性期にわたり良好な成績であった。