第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

大動脈解離

2014年10月30日(木) 10:04 〜 10:52 第5会場 (201会議室)

座長: 貞弘光章(山形大学医学部 第二外科), 大北裕(神戸大学大学院医学研究科外科学講座 心臓血管外科学)

10:04 〜 10:52

[O-9-2] 慢性大動脈解離に対するステントグラフト術による最新治療~真腔ステントグラフトと偽腔オクルーダー挿入~

墨誠1,5, 山城理仁1, 花井信1, 田口真吾1, 横井良彦4, 蜂谷貴3, 星俊子2, 小野口勝久1, 大木隆生5 (1.埼玉県立循環器・呼吸器病センター 心臓血管外科, 2.埼玉県立循環器・呼吸器病センター 放射線科, 3.慶應義塾大学 心臓血管外科, 4.東京女子医科大学 心臓血管外科, 5.東京慈恵会医科大学 外科学講座 血管外科分野)

キーワード:aortic dissection, Stentgraft

【はじめに】ステントグラフト(SG)術の普及に伴い,最近では慢性大動脈解離(CAD)に対してもSG術が行われつつある。CAD治療はSGでprimary tear(PT)閉鎖のみおこなっている施設も多いが,治療が不十分のことも多い。そのため,我々は偽腔にも自作オクルーダー(OC)を挿入しexclusionをめざしている。さらに,対麻痺予防のためにNajutaや自作穴あきSGで左鎖骨下動脈(SCA)温存し治療をおこなっている。今回,その成績と手技を供覧する。【対象と結果】2007年より胸部SG術を140例施行し,CADにSG術を行った症例は7例であった。平均年齢64歳,動脈瘤最大短径の平均は58mmであった。治療はPT閉鎖のみ施行した症例が3例で,うち2例は一期的あるいは二期的に偽腔にOCを挿入した。PT閉鎖に加え,secondary tear(ST)閉鎖をおこなった症例は4例でありexclusionをえた。偽腔にOCを挿入した2例のうち1例はPT閉鎖をおこなうもSTからの血流により瘤増大を認めたため,自作OCを偽腔に挿入しexclusionさせた。もう1例は,一期的に真腔にSGを挿入し,TX2自作OCを偽腔に挿入しexclusionさせた。また,アダムキュービッツ動脈閉塞の場合はbypass,Najutaや自作穴あきSGでSCAの血流温存につとめた。そのため対麻痺などの合併症も認めていない。平均観察期間は10.5ヶ月で,動脈瘤部の偽腔血栓化は全例でみとめた。瘤径の拡大は2例で,1例はOCを偽腔に挿入し瘤縮小となった。【結語】CADに対するSG術はexclusionをめざした治療が必要であると考えるが,多くの場合,腹部分枝部tearのためexclusionは容易ではない。Exclusionのためには,真腔SGによるPT閉鎖とSTから瘤への血流遮断のための偽腔OC挿入が有用であると考えられる。