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[O-9-4] セリプロロールは血管型エーラスダンロス症候群関連合併症を予防する
キーワード:Ehlers-Danlos Syndrome, celiprolol
【目的】血管型エーラスダンロス症候群(vEDS)は,マルファン症候群とならび代表的な遺伝性大動脈結合識障害疾患の一つである。しかしながらvEDSは他の結合織障害と異なり,動脈合併症に対する外科的治療が困難であり,むしろ禁忌とする治療方針が主流である。近年,β遮断薬の一つであるセリプロロールがvEDSの合併症を有意に減少させることが報告され(Lancet 2010;376:1476)注目されている。本検討では,vEDSに対してセリプロロールを投与すると,合併症が実際に減少するのか検討した。【方法】vEDSの責任遺伝子であるCOL3A1異常が確定している8患者(男6例,平均35±8歳)に対してセリプロロールを投与し,vEDS関連合併症(動脈解離,動脈瘤破裂,子宮破裂,腸管破裂,血気胸)の一人一年あたりの発症数を,セリプロロール投与前5年間と投与後で後ろ向きに比較検討した。【結果】セリプロロールの最終投与量は平均140±55mg,投与の平均期間は29±12カ月であった。投与開始前5年における血管合併症は計6回(血気胸2,腸管破裂1,空腸動脈破裂1,脾動脈破裂1,脾動脈腎動脈瘤1)であり,1人・1年当たりの関連合併症数は0.20回,投与開始後のEDS関連合併症は0.054回であった。【総括】患者数が少なく,コントロール群が設定できず,投与期間も短いため,統計学的な比較検討ができず,本検討では十分な結論を示すことは難しいが,セリプロロールがvEDS関連合併症を抑制している可能性があると考えられた。