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[O-9-6] 超高齢者に対する急性大動脈解離の遠隔成績の検討
キーワード:aortic dissection, octogenerrrians
【背景】急性大動脈解離に対する手術治療成績は近年改善が著しいが,超高齢者(80歳以上)に対する急性期手術適応は術前状態だけでなく,その予後や生活背景によっても異なってくる。今回我々は当院における急性大動脈解離を伴った超高齢者に対する手術成績,遠隔予後について検討を行った。【対象と方法】2000年1月より2013年10月までに当科にて急性大動脈解離Stanford A型に対し手術を施行した117例中,80歳以上の超高齢者群25例について検討した。25例すべてにおいて上行大動脈人工血管置換術を施行していた。同時期に急性大動脈解離に対し上行大動脈人工血管置換術を施行した80以下の55例と比較検討を行った。【結果】高齢者群の平均年齢は83.9±2.8歳で男女比は6:19と76%が女性であった。術前状態では血性心嚢液を認めたものが84%対51%と高齢者群で優位に多かった(P=0.004)。全80症例に対し直腸温25度で循環停止とし上行大動脈人工血管置換術を施行した。大動脈遮断時間,体外循環時間,手術時間はそれぞれ高齢者群で70±15分,150±32分,238±50分,若年者群で70±17分,144±19分,231±19分と2群間に差はなかった。術後の出血量,呼吸不全,脳梗塞,腎不全に関して差は無かった。30日死亡率は高齢者群で2例(8%)と若年者群3例(5%)であった。遠隔死亡は19例に認め1年,3年,5年生存率は高齢者群で80.0%,66.4%,59.7%,若年者群で90.6%,84.4%,81.9%であった(P=0.036)。【結語】超高齢者の急性大動脈解離に対する急性期手術は手術成績,遠隔成績とも満足できるものであった。超高齢者の急性大動脈解離に対して家族背景,生活背景が許せば積極的な外科的介入は妥当と思われる。