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[P-1-2] 閉塞性黄疸および急性膵炎を呈した胃十二指腸動脈瘤の一例
キーワード:gastroduodenal artery aneurysm, acute pancreatitis
【目的】胃十二指腸動脈瘤は腹部内蔵動脈瘤の1.5%を占める稀な動脈瘤である。破裂救命例の報告は散見されるが閉塞性黄疸を呈する未破裂例の手術報告は未だない。【症例】73歳男性。平成25年3月からの食指不振と眼球の黄染を主訴に5月当院初診。入院精査の結果,胃十二指腸動脈瘤および急性膵炎と診断された。PTCDならびに絶食・カモスタットメシル酸塩による加療後,根治術目的で当科紹介となった。術式として報告の多いcoil embolizationによる治療は瘤による機械的圧迫の解除に時間がかかり経過中の急性膵炎の増悪が懸念されるため本症例には適さないと判断。また開腹手術の場合(1)流入血管のligationとaneurysmectomy(2)膵頭十二指腸切除術の両方の可能性が考えられた。【手術】膵頭部周囲の癒着は極めて高度であり,瘤は膵実質に埋もれる様に存在しGDA根部の剖出も不可能であったため,膵頭十二指腸切除術を行った。癒着の比較的軽微な膵尾部をめくるように脾臓側から剥離を進め主要血管を剖出,瘤とen-blockに膵頭部・十二指腸を切除し再建を行った。【結果】術後合併症は無く経過は順調であった。31PODに独歩退院した。病理所見上,瘤壁には平滑筋および弾性線維に富む中膜構造および石灰化内膜が残存し動脈硬化性の真性瘤の所見であった。また瘤から周囲膵組織および十二指腸固有筋層にわたる強い線維化と炎症細胞の浸潤を認めた。【結語】閉塞性黄疸および急性膵炎を呈する胃十二指腸動脈瘤に対して手術を施行し良好な結果を得た。瘤破裂は致命的な転帰であるが,未破裂例においても機械的圧迫による黄疸・膵炎症状が治療法の選択を複雑にすると考えられた。