第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

動脈瘤1

Thu. Oct 30, 2014 3:20 PM - 4:02 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 小林昌義(藤田保健衛生大学医学部 心臓血管外科)

3:20 PM - 4:02 PM

[P-1-5] 膝窩動脈瘤による急性動脈閉塞からコンパートメント症候群,急性腎不全に至った1例

磯田竜太郎, 森田一郎, 平林葉子, 猶本良夫 (川崎医科大学 総合外科学)

Keywords:popliteal artery aneurysm, compartment syndrome

膝窩動脈瘤による急性動脈閉塞から術中にコンパートメント症候群と術後急性腎不全を併発した症例を経験したので報告する。症例は77歳男性。ゲートボールの最中に突然,左下肢の疼痛を自覚し他院を受診し,急性動脈閉塞を疑われ当院に救急搬送された。精査の結果,血栓閉塞した左膝窩動脈瘤による急性動脈閉塞と診断した。手術室の空きがなかったため,入院後ヘパリンの点滴を開始し待機した。同日緊急で膝窩動脈瘤切除,大伏在静脈による血管置換,PTAを施行し血流再開を得た。しかし,血流再開まで時間が経過していたため,血行再建後の虚血再灌流障害から左下腿筋腫脹を生じ,筋膜切開を追加した。翌日,ドプラにて左足背動脈の血流低下を認め,緊急下肢動脈造影を施行した。左前脛骨動脈,後脛骨動脈の血栓による途絶を認め,PTAを試みた。後脛骨動脈は末梢側まで造影されたが,前脛骨動脈は末梢側まで造影されず,足背動脈の血流改善を認めなかった。そこで,左浅大腿動脈にカテーテルを留置し選択的ウロキナーゼ,ヘパリン動注を開始し,その後は左足背動脈触知可能となり疼痛も改善した。しかし,次第にラシックスに反応しない尿量低下,Creの上昇,ミオグロビン尿を認め,急性腎不全と診断し,術後11日目より血液透析を開始した。徐々にCreが改善したため透析回数を漸減していき術後24日目に終了した。その後,左下腿筋腫脹も改善したため術後28日目に筋膜切開部の皮膚縫合閉鎖を行い,血流および創状態ともに良好のため術後50日目に退院となった。