第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

リンパその他

Thu. Oct 30, 2014 4:38 PM - 5:14 PM 第7会場 (第2練習室)

座長: 末廣晃太郎(山口大学医学部器官病態外科学 血管外科)

4:38 PM - 5:14 PM

[P-10-1] 弓部大動脈置換術後難治性乳糜胸に対し経皮的胸管塞栓術を施行した一例

玉井宏一1, 浦島恭子1, 田島泰1, 安達晃一1, 井上政則2 (1.春日部中央総合病院, 2.平塚市民病院 放射線科)

Keywords:chlothorax, percutaneous lymphatic embolization

【背景】弓部大動脈瘤に対する弓部大動脈置換術の際には胸管損傷に伴う乳糜胸発症の可能性があり,しばしばその対応に苦慮することがある。今回術後難治性乳糜胸に対して経皮的胸管塞栓術を施行し良好な成績を得たので報告する。【症例】70歳男性。近医にて弓部大動脈嚢状瘤を指摘後当科紹介受診され,弓部大動脈人工血管置換術を施行した。術後早期より胸腔drainから1L以上の排液を連日認めていた。乳糜胸発生し脂肪制限食,サンドスタチン投与等を行うも,排液量の減少を認めず脱水と低蛋白血症が持続した。術前より肺気腫による呼吸機能の低下が指摘されていた為,全身麻酔による開胸手術は危険性が高いと判断し経皮的胸管塞栓術を行う方針とした。右鼠径部リンパ節からのリンパ管造影により乳糜槽を同定した。腹部より経皮的に直接乳糜槽への穿刺を行い,そこからマイクロカテーテルを胸管内上行させ,造影により上縦隔の胸管損傷部位を同定した。ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルを胸管全体にわたって留置し,胸管を閉塞させた。術後乳糜胸は著明に減少し胸腔drainを抜去することが可能となった。経皮的に上腹部から乳糜槽を穿刺したことにより腹腔内にフリーエアを一時的に認めたが,腹膜炎を呈することはなかった。【結語】難治性の術後乳糜胸に対する経皮的胸管塞栓術は治療の選択肢の一つとして有用であると考えられる。