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[P-10-5] 特徴的な頸動脈エコー所見を呈した血管炎の一例
Keywords:arteritis, carotid ultrasonography
【目的】頸動脈に波及する血管炎には,高安動脈炎や側頭動脈炎などの大血管炎が主体である。両者の共通した特徴的エコー所見として,総頸動脈の全周性肥厚や狭窄・閉塞,椎骨動脈の炎症性浮腫などが挙げられるが,その画像所見については一定ではない。今回,特徴的な頸動脈エコー所見を呈した血管炎の一例を経験したので報告する。【症例】63歳女性。42歳時に血圧の左右差を指摘されたが放置していた。61歳時に頭痛,発熱,右大腿部痛出現。赤血球沈降速度が68mm/Hと高値を呈していた。リウマチ性多発筋痛症疑いにてステロイド治療を行ったところ,症状改善したため2週間で中止。以後安定していたが,62歳時に再度右頭頂部痛が出現した。頭部MRIを施行したところ,明らかな梗塞巣は認めなかったが,MRA上,左鎖骨下動脈閉塞を認めたため,当科紹介受診となった。頸動脈エコー検査を施行したところ,両側総頸動脈は全周性にIMC肥厚を認め,右内頸動脈血流は外頸動脈から供給されていた。さらに,左総頸動脈は中央部以遠で血管拡張および,様々な方向への血流を認める,不均一なIMC肥厚像を呈していた。さらに,左椎骨動脈は起始部から閉塞し,鎖骨下動脈も起始部で閉塞していた。側頭動脈には明らかな異常所見を認めなかった。【考察・結語】血管炎のエコー画像については,高安動脈炎のマカロニサイン,側頭動脈炎のハローサイン,バージャー病のコークスクリューサインなどが典型像としてあげられる。本例の画像については,総頸動脈のIMC全周性肥厚に加えて,血管拡張,血管内で多方向へ血流を認めるような特徴的画像を得た。これは慢性的に炎症を繰り返し,閉塞再開通を繰り返していたものと推測した。