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[P-13-2] 大動脈弁輪拡張症を経過観察中に無症候性解離性大動脈瘤を生じた一例
キーワード:TAA, AAE
【症例】88歳女性。2005年近医にてバルサルバ洞径38mm,上行大動脈46mmと拡張と中等度大動脈弁逆流認め大動脈弁輪拡張症(AAE)として,定期的に経過観察をしていた。2014年5月,2週間前から呼吸苦増強を認め来院された。来院時血液検査でBNP844pg/ml,心電図でHR75洞調律,IでTの平低化,aVL,V5,V6で陰性Tを認め,胸部X線写真で右第1弓,左第1弓の突出を認めた。心エコーでは左室拡大及び著明な収縮能低下を認め,経過観察をしていた上行大動脈は,67mmと著明に拡大,さらにflapと高度大動脈弁逆流を認めた。単純CTでは上行大動脈67×87mm拡大,内部に石灰化を認めた。以上より急性期大動脈解離Stanford A型と診断され,緊急手術を目的に他院心臓血管外科へ紹介。高齢で,心機能低下があり周術期の死亡率が極めて高い事などから,本人,家族ともに手術を拒否され保存的加療となった。【まとめ】AAEの経過観察において,大動脈径が半年で5mm以上径が増大する場合手術適応であるか判断することが重要とされているが,同時に大動脈解離の確認も怠ってはならない。大動脈解離は通常激しい症状を伴うとされているが,胸背部痛が認められるものは70~80%で,無症候性は6.4%の頻度で存在するという報告があり,症状の有無に拘らず観察項目として必須であると考えられた。今回AAEを経過観察中に無症候性解離性大動脈瘤を生じた一例を経験したので文献的考察を加えて報告する。