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[P-15-4] 下肢静脈瘤患者対する非観血的静脈圧測定法
キーワード:venous pressure, varicose vein
【目的】正常下肢では立位安静時に静脈圧約80~100mmHgが足関節部にかかるが,つま先立ちなどの下肢の運動による筋のポンプ作用で約30mmHg以下に低下すると言われ,静脈弁不全がある一次性静脈瘤では運動時でも約60mmHgまでしか低下しないと言われる。これらの静脈圧測定は一般的に測定部位の静脈穿刺を要し,穿刺には無菌操作を要する。さらにこれにつながる点滴ルートに液体を満たし,これに圧力センサーを取り付けるなどの煩雑な手順を要する。また穿刺には疼痛を伴い,感染のリスク,静脈の損傷などの危険性も考えられる。安静時の静脈圧測定はまだ良いが,運動直後の静脈圧測定となると,さらに困難が予想される。【方法】今回我々は静脈穿刺を伴わずに数秒で静脈圧が測定できる非観血的静脈圧測定器を作成した。2007年に同じ原理で測定されていたが(J Am Coll Cardiol 2007; 50:1584-9),この論文では下肢静脈圧が測定されておらず,今回我々は下肢静脈瘤患者の下肢静脈を含め,全身の様々な静脈を穿刺し実測した静脈圧データと,今回位我々が作製した非観血的静脈圧測定器で測定した静脈圧のデータの相関を検討した。【成績】非観血的静脈圧測定器で測定した静脈圧と静脈穿刺のうえ水柱圧で実測した値の測定誤差は極めてわずかであり,実測圧=1.14×非観血的測定値+0.82,r2=0.96,p<0.0001という非常に強い相関を認めた。【結論】非観血的静脈圧測定法は下肢静脈圧を含め,全身の静脈圧を穿刺なしに極めて簡便に測定できる測定法であり,下肢静脈瘤患者の静脈圧と臨床症状との関連や術後の静脈圧と再発などの関連などの研究に役立つ可能性がある