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[P-16-6] 下肢静脈瘤を契機に発見された,左側下大静脈を合併したpopliteal venous aneurysmの一例
キーワード:left-sided IVC, venous aneurysm
【はじめに】popliteal venous aneurysm(膝窩静脈瘤)はDVT,VTEの高度な合併を認める限局性の静脈性血管瘤として知られている。下肢静脈瘤を契機に発見されたmultiple venous aneurysm(右膝窩静脈瘤,右大伏在静脈瘤)に対して,二期的に手術を施行した一例を経験したので報告する。【症例】69歳,女性。主訴は右下肢倦怠感。既往歴に高血圧,慢性胃炎。近医通院中に下肢静脈瘤を指摘され紹介受診となった。初診時,右ソケイ部膨隆,右膝窩部に2cm大の腫瘤あり,血管雑音は聴取しなかった。エコーでは右膝窩静脈に最大径31mmのpopliteal venous aneurysm,右大伏在静脈はterminal valveに逆流を認めた。さらにCTでterminal Aortaから腎動脈レベルまでの左側下大静脈を認めた。【治療・経過】全身麻酔,腹臥位にて右膝窩横切開,6-0ploreneを用いて右膝窩静脈縫縮術を施行した。さらに一か月後に右大伏在静脈瘤に対してstripping手術(瘤切除,穿通枝結紮)を施行した。【考察】重複下大静脈ではなく,単独での左側下大静脈の頻度は肉眼解剖学的観察例では0.3~0.5%と言われている。膝窩静脈瘤は,1.好発年齢がない 2.単発性が多い 3.静脈の延長を伴わない拡張などが特徴としてあげられる。下肢以外の静脈にも報告はみられるが,好発部位は膝窩部が最も多く,症状は無痛性が多いとされる。成因として外傷性以外には静脈硬化,静脈壁平滑筋欠如,退行性変化などが挙げられる。【結語】下肢静脈瘤を契機に発見された,左側下大静脈を合併したpopliteal venous aneurysmの一例を経験した。画像所見に加え,若干の文献的考察を含めてここに報告する。