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[P-2-4] 止血に苦慮した仮性動脈瘤の一例(超音波ガイド下圧迫法の施行時の超音波検査技師の役割)
Keywords:CVT, Vas
近年,血管内治療の進歩に伴う合併症として医原性仮性動脈瘤の頻度も増加している。この治療法の一つとして超音波ガイド下圧迫法がある。当院では,血管超音波検査で仮性動脈瘤の描出と評価を行っている。今回,止血に苦慮した仮性動脈瘤の一例を経験したので報告する。【症例】68歳男性。他院からの紹介で冠動脈3枝病変に対して,緊急で心拍動化冠動脈バイパス術を施行した。搬送時より右下肢の大腿動脈および大腿静脈にシースが留置されていた。術後1日目に大腿動脈シースを抜去し再挿入を行った。術後3日目より触診にて仮性動脈瘤を疑い,ビン圧迫による止血を試みたが,拍動性腫瘤は消失しなかった。術後5日目のCTにて仮性動脈瘤と診断した。術後6日目に技師による血管超音波で仮性動脈瘤の評価を行った。右大腿静脈には透析用カテーテルが留置されており,超音波ガイド下での仮性動脈瘤の圧迫は困難であった。術後7日目に透析用カテーテルを抜去し再度超音波ガイド下圧迫を試みた。右大腿動脈からの通常の形態の仮性動脈瘤とさらに体表側に伸びる瘤が確認された。通常の圧迫で止血が確認出来ないことから,表層の瘤を強く圧迫すると瘤内の血流が消失した。この所見から,表層の瘤から止血を行うことで両方の仮性瘤の止血が得られると考えられた。止血開始から60分程度の時間を要したが仮性動脈瘤内へのカラードプラは消失した。術後9日目の血管超音波検査でも止血が確認され,外科的治療を行う事もなく無事退院された。【まとめ】仮性動脈瘤が疑われた場合は,超音波検査にて瘤の確認および形態などを把握して適切に超音波ガイド下圧迫を行うことで確実な圧迫止血が得られるものと考えられる。