第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

感染その他

2014年10月31日(金) 13:40 〜 14:28 第6会場 (第1練習室)

座長: 小泉信達(東京医科大学 心臓血管外科)

13:40 〜 14:28

[P-20-4] 感染性大動脈疾患に対するピオクタニン併用大網充填法の有用性

松永裕樹, 三島秀樹, 片山康, 石川進 (都立墨東病院 胸部心臓血管外科)

キーワード:infected aortic disease, gentian violet disinfectant

【目的】塩化メチルロザリニン(ピオクタニン)液は古くからある消毒液だが,感染性心臓大血管疾患手術における有用性が近年認識されつつある。当科では大網充填法にピオクタニン液塗布を併用し,良好な結果を得たので報告する。【対象と方法】2011年4月以降3年間の5症例で検討した,年齢は平均67(57~83)歳で,全例男性であった。内訳は,感染性腹部大動脈瘤が3例,感染性胸部および腹部大動脈瘤,弓部大動脈置換後の人工血管感染が各1例であった。全例で抗生物質投与後に待機手術を行った。手術時は0.1%ピオクタニン液を人工血管,吻合部および周囲組織に塗布し,術後の持続洗浄には0.02%液を用いた。なお,人工血管は初回手術の4例ではEPTFEを用いた。【結果】1)手術術式:腹部大動脈瘤の3例では解剖学的に人工血管置換術を行った。胸部および腹部大動脈瘤の1例では,腹部大動脈人工血管置換術を先行し,2期的に胸部下大動脈内ステントグラフト挿入術を行った。人工血管感染の1例では胸骨下および人工血管周囲にピオクタニン液を塗布後に有茎大網片を充填し,術後はドレンからの持続洗浄を行った。2)術後および中期成績:術後経過は良好で全例軽快退院した。術後平均12(5~28)ヶ月の現在,感染の再発はない。【考察】ピオクタニンの効果はグラム陽性菌,緑膿菌のみに限られるが,局所刺激作用が無いこと,壊死組織と沈着物を形成すること,血清存在下でも殺菌効果が減弱しないなどの利点があり,今後も有用性を検討する価値がある。【結語】大網充填法にピオクタニンの局所塗布を併用することは,感染性大動脈疾患治療の選択肢の一つとなり得る。