第55回日本脈管学会総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

PAD1

Fri. Oct 31, 2014 1:34 PM - 2:10 PM 第7会場 (第2練習室)

座長: 浅田秀典(独立行政法人国立病院機構京都医療センター 心臓血管外科)

1:34 PM - 2:10 PM

[P-23-4] 両下肢に重度壊死を伴ったCLIに対して,両側distal dual bypassを施行し,救肢治癒できた一例

片岡剛, 浅田秀典, 白神幸太郎, 吉良浩勝 (独立行政法人 国立病院機構 京都医療センター 心臓血管外科)

Keywords:CLI, distal dual bypass

症例は63歳男性。30年来の糖尿病で,腎症悪化から3ヶ月前に透析導入。以前より右下肢の間歇性跛行を自覚していたが,透析導入後より第5趾に安静時疼痛が生じ,すぐに壊死が進行した。他院でPTAを施行したが壊死は拡大し感染も合併したため下腿切断が決定された。さらに同時期に左第1趾壊死と踵部潰瘍も生じて,セカンドオピニオンで当科を紹介受診,治療方針決定のために入院となる。下肢血管造影で(以下動脈をAとする),右は膝下膝窩Aまで開存し,前脛骨Aは閉塞,腓骨Aから側副枝で足背Aが描出,後脛骨Aも末梢で閉塞し側副枝から足底Aが描出された。左は膝下膝窩Aまで開存し,後脛骨Aから足底Aまで閉塞し,踵部の血管は非常に乏しく,腓骨Aと前脛骨Aは末梢で閉塞し側副枝から足背Aが描出された。この結果,右左の順に二期的distal bypassを施行して救肢を図る方針となった。まず右側は,Y字に作成したNon-Reverse SVGを用いて,膝下膝窩Aから足背Aと足底Aへのdual bypassと第4,5中足骨切断と組織のデブリを施行。3週間後,枝を付けたIn-situ SVGを用いて,左側の膝下膝窩Aから腓骨Aと前脛骨A開存部へのdual bypassと第1趾切断を施行。術後血管造影ですべてのbypassの開存を確認。右の組織欠損部にはNPWTを併用して,ある程度縮小後に植皮術施行。完全治癒前であったが,初回手術から10週間後に退院となる。その後外来で右側は術後4ヶ月半後,左側は術後9ヶ月後に創治癒に至り,全ての症状も消失した。虚血壊死範囲が大きい場合,側副枝の発達程度にもよるが,distal dual bypassを行うことで,偏りの少ない血行再建が見込まれ,より早期の創治癒を期待して手術を施行し,良好な結果を得たので報告した。