第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

PAD1

Fri. Oct 31, 2014 1:34 PM - 2:10 PM 第7会場 (第2練習室)

座長: 浅田秀典(独立行政法人国立病院機構京都医療センター 心臓血管外科)

1:34 PM - 2:10 PM

[P-23-5] 遠位バイパス末梢吻合部感染に対する陰圧閉鎖療法の工夫

孟真1, 井元清隆1, 益田宗孝3 (1.横浜南共済病院心臓血管外科, 2.横浜市立大学市民総合医療センター心臓血管外科, 3.横浜市立大学医学部)

Keywords:distal bypass, wound infection

【はじめに】下肢遠位バイパス術の末梢吻合部は血流の悪い部位に切開創があり感染のリスクが高く,また吻合部やグラフト走行部が比較的体表に近くにあり出血をきたすと重篤な合併症となりうる。一方,陰圧閉鎖療法は創治癒には有用であるもののグラフト周囲で行うとグラフトからの出血を助長する可能性があり一般には使用されない。今回,遠位バイパス末梢吻合部に感染をきたした症例に対して安全に行いうる工夫をした陰圧閉鎖療法を行ったので報告する。【症例】70才男性糖尿病・末期腎不全患者で左下肢第2-4足趾壊疽にて繰り返すEVT行うも改善なく,転院後に左膝下膝窩動脈-後脛骨動脈バイパスを行った。術後15日で末梢吻合創感染あり大伏在静脈グラフトが露出しMRSAが検出された。陰圧閉鎖療法はVACシステム(KCIメディカル)とハマサーボドレイン(イノメディックス)ではじめ50mmHg後に100Hgの吸引圧で行った。廃液容器はグラフトからの出血に備え生理食塩水で残り50ccまで満たした。創はフィルムドレッシングで強固に固定した。陰圧閉鎖療法12日目にてグラフトは肉芽の中に埋没した。当科では同様の遠位バイパス術後2例に対しても同様の治療を行い良好な結果を得ている。【結語】壁吸引でなく容量のほとんどを満たした廃液容器を持った持続吸引装置を用いた陰圧閉鎖療法は,グラフト出血でも大量の血液を吸引せずまた強固に固定したフィルムドレッシングが圧迫止血の役割をするので安全かつ有用な方法と思われた。