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[P-24-1] 下肢動脈エコー検査から推測できる腸骨動脈領域病変~PSV,ACT計測の有用性~
キーワード:ASO, iliac arterial lesion
【はじめに】動脈硬化のスクリーニングとして簡便で無侵襲という点から多くの施設で頸動脈エコー(US)が実施されている。USではIMT,血管壁やplaqueの性状,狭窄率が評価できる。下肢動脈USも同様である。狭窄部の観察が困難な場合でもパルスドプラ波形の変化や収縮期最高血流量PSV(Peak systolic velocity:正常値80~100cm/sec),収縮期立ち上がり時間ACT(acceleration time:正常値100ms以下)を計測することで狭窄率を推定評価できる。今回我々は間欠性跛行を主訴とした患者に対する下肢動脈USから病変部位(腸骨動脈領域)を推定した2症例を提示する。【症例1】84才男性。200m程度の間欠性跛行。ABI:Rt.0.88 Lt.0.71下肢動脈USでは左大腿動脈パルスドプラ波形D3,PSV71cm/sec,ACT148msec,高度な左腸骨動脈領域の狭窄を推測できた。CTAでは左外腸骨動脈に90%狭窄を認めた。【症例2】72才女性。100m程度の右下肢間欠性跛行。ABI:Rt.0.71 Lt.1.06下肢動脈USでは右大腿動脈パルスドプラ波形D3,PSV65cm/sec,ACT202msec,高度な右腸骨動脈領域の狭窄を推測できた。CTAでは右総腸骨動脈に高度な石灰化と狭窄,下肢動脈造影ではsoft plaqueを疑う99%狭窄を認めた。両症例とも血管内治療が施行され症状が軽快。【考察】腸骨動脈領域は消化管ガスや体型によりUSで観察困難な症例が多い。CT,MRI,アンギオでは人工血管・石灰化を過小・過大評価することがある。しかし大腿動脈USのパルスドプラ波形・PSV・ACTから腸骨動脈領域の病変が推測可能である。簡便で無侵襲な下肢動脈USの有用性は評価できる。【結語】US,CT,MRI,アンギオ各々のモダリティの特性と欠点・実用性をふまえ末梢動脈疾患の診断・治療を進める必要がある。