第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

PAD2

2014年10月31日(金) 14:10 〜 14:52 第7会場 (第2練習室)

座長: 古谷彰(山口労災病院 循環器外科)

14:10 〜 14:52

[P-24-5] 静脈性血管瘤を合併した膝窩動脈外膜嚢腫の1例

大澤宏1, 小島淳夫2 (1.島田総合病院 心臓血管外科, 2.東名厚木病院 血管外科)

キーワード:cystic adventitial disease, popliteal artery

 症例は46歳女性。急激に発症した右下腿の倦怠感と冷感のため近医受診。右ABI 0.49と低下を認めたためベラプロスト処方され当院紹介となった。当院初診時,右足冷感と3分歩行で右下腿の間欠性跛行を認めた。足背動脈の拍動は減弱していたが,当院受診時のABIは右 1.01であった。下肢CTAでは膝上膝窩動脈の狭窄と内腔に嚢胞状病変を認めた。エコーでは膝窩動脈の狭窄と膝屈曲時に血流の消失を認めた。MRIでは膝窩動脈の狭窄と同部位に腫瘤を認め,T1強調像では低信号,T2強調像では高信号を呈していた。以上より膝窩動脈外膜嚢腫と診断,症状の改善がみられないため手術を施行した。 手術は内側アプローチで膝窩動脈に到達。膝窩動脈拡張部の中枢と末梢を確保し,拡張部の外膜を切開するとゼリー状の無色透明の内容が排出された。嚢胞を形成している外膜を切除すると末梢の動脈拍動は良好となった。外膜切除した動脈はそのままとした。術中エコーで嚢状の大腿膝窩静脈の静脈性血管瘤を認めたため入口部を結紮した。術後,症状は改善し良好に経過。病理所見も膝窩動脈外膜嚢腫として矛盾しない所見であった。 膝窩動脈外膜嚢腫は比較的稀な疾患のため確立された治療法はなく,切除および置換,外膜切除などが行われる。不十分な外膜切除は再発の危険もあるため,本症例では静脈グラフトによる置換も検討したが,まだ若年者でありグラフト劣化も危惧されるため外膜切除を選択した。