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[P-25-7] 肺血栓塞栓症の発症を契機に発見された大動脈炎症候群に合併した肺動脈解離の一症例
キーワード:Pulmonary artery dissection, Aortitis syndrome
症例は51歳,女性。15年前に背部痛を自覚し近医を受診した。その際に炎症反応が高値であり,抗生剤にて加療されたが改善なく,精査されたが確定診断には至らなかった。翌年に施行された造影CTで大動脈弓部の壁肥厚と右上肺動脈の閉塞,左肺動脈の壁肥厚を認め,大動脈炎症候群と診断された。プレドニゾロン内服が開始され,徐々に炎症反応は改善し,10年後にプレドニゾロンは減量,中止となった。炎症反応の再燃なく経過していたが,昨年10月から労作時の息切れが出現し,近医を受診した。精査目的の造影CTにて,左肺動脈に血栓像を認め,肺血栓塞栓症の診断で同院に緊急入院となった。抗凝固療法が開始され,自覚症状は改善したが,経過観察目的にて造影CTを撮影したところ,血栓像は縮小していたが,左肺動脈主幹部から左肺動脈下葉枝にかけてintimal flapを認め,肺動脈解離と診断された。その精査加療のため当院へ転院となった。右心カテーテル検査では肺高血圧は認めず,血管造影では左肺動脈主幹部のflapと,左回旋枝と気管支動脈から右上肺動脈への側副血行路を認めた。肺動脈の破裂や解離の進展の予防のために,当院心臓血管外科にて左肺動脈人工血管置換術を施行した。肺動脈解離は今までに数十例の報告しかなく,また,本症例では大動脈炎症候群により肺動脈壁が肥厚した部位に肺動脈解離を認めており,大動脈炎症候群と肺動脈解離の関連が示唆された稀な症例を経験したため報告する。