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[P-27-4] 臨床的にSAM (segmental arterial mediolysis)が原因と考えられた腹腔内出血の1例
キーワード:segmental arterial mediolysis, intraperitoneal hemorrhage
【はじめに】Segmental arterial mediolysis(SAM)は動脈の中膜が分節状に融解し,動脈瘤形成や解離,狭窄・閉塞などから突然の腹痛やショックを来す緊急性の高い疾患である。今回我々は腹腔内出血で発症したSAMが原因と考えられた多発内臓動脈瘤の症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】40歳台,男性。【既往歴】高血圧【現病歴】腹痛を主訴に近医受診し胃腸薬を処方されて,一旦症状軽快していたが来院前日に腹痛と悪心・嘔吐が再度出現。症状改善せず当院救急受診となった。【来院時現象】脈拍 69/分,血圧90/75mmHg,心窩部を中心とする圧痛と筋性防御,四肢冷感を認めた。【造影CT】総肝動脈の近位部と遠位部に動脈瘤と膵頭部背側に異常血管を認め,腹腔内の血性腹水を疑う所見と前腎傍腔を主体とした広範な出血を認めた。【腹部血管造影】腹腔動脈,上腸間膜動脈造影で総肝動脈と固有肝動脈,上膵十二指腸動脈瘤を認めた。上膵十二指腸動脈瘤は多房性,不正型で出血の原因と考えられ,NCBAによる塞栓術を行った。総肝動脈,固有肝動脈瘤に対してはコイル塞栓術を行い,最終造影で動脈瘤の消失を確認した。【経過】術後数日間は絶食,N-G tube挿入となったが術後6日目より経口摂取を開始。その後,発熱の持続があり原因検索等を行った後,術後25日目に退院となった。外来follow up中,症状の再発は認めていない。