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[P-27-5] 肝膿瘍を契機に発症した腸腰筋膿瘍を伴う感染性腸骨動脈瘤破裂の1例
キーワード:infected aortic aneurysm, psoas abscess
【はじめに】腸腰筋膿瘍を伴う感染性腸骨動脈瘤は比較的稀と言われている。今回われわれは,治療に難渋した肝膿瘍を契機に発症した腸腰筋膿瘍を伴う左腸骨動脈瘤破裂の1例を経験したので文献的考察も含め報告する。【症例】症例は70歳男性。発熱,食欲不振あり,前医入院。精査にて肝膿瘍,肺腫瘍を認め,抗菌薬治療を開始。入院時血液培養からはKlebsiella pneumoniaeを認めた。解熱認めるものの炎症所見高値遷延するため当院紹介となり入院精査となった。入院時CTにて左外腸骨動脈を巻き込む腸腰筋膿瘍を認めた。抗菌薬治療を継続したが,入院6日目に左下腹部痛増強があり,CTにて腸腰筋膿瘍内に出血を伴う感染性腸骨動脈瘤破裂を認めため,緊急手術(左腸骨動脈瘤切除,右外腸骨-左大腿動脈バイパスおよび腸腰筋膿瘍開窓ドレナージ)を施行した。膿瘍腔の培養ではKlebsiella pneumoniaeを認めた。抗菌薬治療継続したが,10PODに左大腿部の腫脹と疼痛が出現し,CTにて骨盤腔の膿瘍残存と大腿部への膿瘍の進展を認めたため,同日CTガイド下ドレナージを施行した。その後,膿瘍腔の縮小,炎症所見の改善を徐々に認め,45PODに独歩退院となった。【考察/結語】今回われわれは,非解剖学的再建と膿瘍ドレナージで感染巣を回避する術式を選択したが,ドレナージが不十分のために,治療に難渋した。感染性動脈瘤の治療においては,症例毎に慎重に術式を吟味する必要があると考える。