第55回日本脈管学会総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

EVAR3

Fri. Oct 31, 2014 1:10 PM - 1:46 PM 第8会場 (2Fロビー)

座長: 由利康一(自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科)

1:10 PM - 1:46 PM

[P-28-1] 破裂性大動脈瘤で緊急ステントグラフト内挿術施行後にDVTを合併した1例

片橋一人, 海野直樹, 山本尚人, 犬塚和徳, 田中宏樹, 佐野真規, 斎藤貴明, 杉澤良太 (浜松医科大学 第2外科 血管外科)

Keywords:AAA, DVT

症例は79歳,男性。急激に発症した腹痛を主訴に近医受診した。血圧60mmHgであり,造影CTにて径64mmの腹部大動脈瘤とFitzgerald III型の後腹膜血腫を認め,破裂性大動脈瘤の診断で手術目的に当院へ緊急搬送となった。当院来院時検査でHb 5.6g/dl,バイタルも不安定であったことから直ちに手術室へ搬送した。入室後の血液ガス分析にてpH 7.10,BE -12.8であった。局所麻酔下に右鼠径部からocclusion balloonを腎動脈下でinflateした。その後,全身麻酔下に腎動脈下-両側総腸骨動脈でstent graft内挿術(Excluder: Main body PTX231412,Ips Leg PXC181000,Cont Leg PXL161407,Ao Cuff to distal CIA PXA230300)を施行した。手術時間1時間44分,出血量50ml,輸血(RCC 12単位,FFP 12単位)。術終了時の膀胱内圧は31mmHgであったが筋弛緩および呼吸設定の変更にてやや低下し,減圧開腹を行わずにAbdominal compartment syndromeの発症なく経過した。14PODに右下肢の腫脹を認め,D dimer 97.6μg/mlと上昇し,下肢echoにて右大腿静脈以下の深部静脈血栓(DVT)を認めた。造影CTで,下大静脈は径11cmの右後腹膜血腫により圧排され同部位より末梢で血栓形成していた。DVTに対し抗凝固療法を開始し退院となった。今回,破裂性大動脈瘤術後にDVTを合併した症例を経験した。破裂性大動脈瘤に対するstent graft内挿術において後腹膜血腫に伴うDVTの合併は,stent graftならではと思われ,若干の文献的考察とともに報告する。