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[P-28-6] 高齢胸部大動脈瘤患者に対する当院での治療戦略の妥当性の検討
Keywords:TAA, elderly person
【背景】高知県の高齢化地域に位置する当院では,高齢者が対象になることが多い。胸部大動脈瘤に対しての当院での治療指針は,高齢者(75歳以上)の下行大動脈ではTEVARを第一選択とする。心疾患,呼吸器疾患を合併する弓部大動脈では,Hybrid TEVARを選択する。【目的】胸部大動脈瘤に対しTEVARを選択した80歳以上の患者18例の治療戦略の妥当性を検討する。【方法】TEVAR施行例の初期成績を,同時期の人工血管置換術症例と比較した。【結果】平均年齢84歳であった。中枢landing zoneはZone0- 2例,Zone1- 5例,Zone2- 3例,Zone3- 1例,Zone4- 7例であった。1-debranch 3例,2-debranch 5例,3-debranch 2例,SMAへのchimney technique 1例であった。Zone1,2の治療を行ったTEVAR例(8)と弓部置換術症例(7)の比較ではともに手術死亡,入院死亡は0例であった。脳合併症はなく,TEVARの1例に不全対麻痺を認めた。Zone3,4のTEVAR例(8)と下行置換術症例(2)では,破裂性TAAへのTEVARの1例を術翌日にMOFで失った。TEVARの1例に腸骨動脈破裂を認めた。術式として弓部置換術が選択できなかった症例は3-debranchを行った2例であった。1例は冠動脈バイパス術後で,2弁置換術+三尖弁輪形成術+3debranchingを行った後に,TEVARを行ったstaged surgeryの症例であった。1例は冠動脈バイパス術後の弓部大動脈瘤に再冠動脈バイパス術と3debranching+TEVARを行った症例であった。【結語】Zone1,2へのTEVARは十分な治療成績であり,高齢者手術として許容できると思われる。Zone4はTEVARの有効性が示されるが,ハイリスク故に,手技的トラブル,適応遵守が寛容と考えられる。