4:32 PM - 5:08 PM
[P-3-2] 血管無侵襲診断法が診断に有用であったLeriche症候群の一例
Keywords:Vascular non-invasive diagnostic, Leriche's syndrome
症例は60歳代女性。1年前より右下肢安静時痛,歩行困難を認めていたが,近医整形外科にて対症療法がなされていた。その後,左下肢にも安静時疼痛が出現し,歩行困難がさらに増悪したため,当院外来受診された。両側大腿動脈は微弱ながら触知可能であったものの,膝窩動脈・足背動脈は触知不能であった。血圧脈波検査(ABI)測定するも測定不能であり,Fontaine 3度の重症下肢虚血肢と診断し精査目的にて入院となった。入院後,ABIは測定不能,膝窩動脈・足背動脈は触知不能であった。血管超音波検査を行うと,腎動脈分岐直後から左右外腸骨動脈(EIA)までの閉塞を認め,左右総大腿動脈(CFA)から遠位部は低流速ながら血流が認められた。下肢CTAにおいても血管超音波検査同様,腎動脈分岐直下から左右EIAまで血流は認められなかった。また,両側内胸動脈からの側副血行路により,両側CFAより末梢の動脈が描出された。以上の所見からLeriche症候群と診断した。通常なら心臓血管外科による外科的バイパス術が第一選択ではあるが,患者の強い希望もあり,カテーテル治療を施行した。左上腕動脈と両側大腿動脈からの両方向からのアプローチを行い,バルーン・ステントを用いて治療に成功した。術後,安静時痛は改善し歩行可能となった。またABIも著明に改善した。今回,血管無侵襲診断法が診断に有用であったLeriche症候群の一例を経験した。当院では,CVTを中心としてPADを疑われる患者に対して積極的に無侵襲の血管検査を行っている。本症例のように無侵襲のABIや血管超音波検査はLeriche症候群の診断に非常に有用であると考える。