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[P-4-2] 糖尿病患者における血管内皮機能検査,Flow-mediated dilation(FMD)とEndoPATの比較検討
キーワード:FMD, PAT
【背景】糖尿病患者では血管内皮障害が早期から出現し,冠動脈疾患などの動脈硬化疾患を高率に合併するため,その障害の程度を早期より評価し,治療につなげることが重要である。現在日本では,FMDとEndoPATの2項目が実施されているが糖尿病患者において同時に測定を行い,結果を比較した報告は少ない。【方法】平成23年7月から平成26年3月の期間について検査を実施した糖尿病,耐糖能異常患者262例を対象とした。FMDはUNEX EF38G,ユネクス社製をEndoPATはEndoPAT-2000,Itamar社製を用いた。FMDとEndoPATの同時測定については,東京医科大学プロトコールに従った。冠動脈疾患のリスク因子として,高血圧,脂質異常症(高LDL,高TG,低HDL,高RLP-C),喫煙,肥満(BMI>25),尿微量アルブミンの有無にて両データを比較検討し,FMD,EndoPAT解離群と非解離群にて収縮期血圧や各種採血データなどを比較した。【結果】FMDは冠動脈疾患のリスク因子が多い患者で有意に低値を示した(リスク因子の数,0; 9.0%,1; 5.9%,2; 4.0%,3; 4.3%,4; 3.8%,5; 1.4% p<0.05)。一方EndoPATではリスク因子の数にて有意な低値は認められなかった。(リスク因子の数,0; 2.01,1; 1.99,2;1.93,3; 1.88,4;2.02,5;2.07 p=NS)。解離群と非解離群で比較したところ,解離群では収縮期血圧が有意に高値を呈した(127.8±17.8mmHg vs135.0±19.9mmHg,P=0.003)。また,解離群の88.0%はFMD低値EndoPAT正常例であった。【結論】糖尿病患者では高血圧を呈することが多いが,収縮期血圧高値によりFMD,EndoPAT値が解離することがあり,評価には注意を要すると考えられる。