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[P-5-3] マウス静脈移植後の新生内膜形成における血管外膜線維芽細胞の関与
キーワード:remodeling, fibroblast
【背景と目的】冠動脈バイパス後の静脈移植片は,激しい血流による伸展やシェアストレスを受けてリモデリングを起こす。そのメカニズムの一つとして近年,血管外膜に局在している線維芽細胞が新生内膜形成に関与している可能性が指摘されている。そこで本研究では,血管外膜に局在している線維芽細胞が静脈移植後の新生内膜形成に関わる機序を明らかにすることを目的とする。【方法および結果】マウスの下大静脈を頸動脈にバイパス移植し,4週間後に観察した。移植静脈では内膜肥厚が観察され,免疫染色の結果,血管内皮前駆細胞の遊走に関わるケモカインCxcl12が血管外膜にて高発現していた。また,RT-PCRではCxcl12と転写因子kruppel-like factor 5(KLF5)のmRNAが共に高発現したことが確認された。そこで,線維芽細胞特異的にKLF5を欠損させた(KLF5postn)マウスの静脈を野生型マウスの頸動脈に移植したところ,移植静脈においてKLF5とCxcl12のmRNA発現は低く,新生内膜形成も抑制されていた。In vitroにて,血管外膜由来の線維芽細胞にKLF5を過剰発現させたところCxcl12の発現が有意に高まることが確認された。【結語】本研究の結果より,転写因子KLF5によって発現が制御されるCxcl12が,血管外膜の線維芽細胞から分泌されることによって静脈移植後の内膜肥厚を引き起こしている可能性があると考えられた。