第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

EVAR1

Thu. Oct 30, 2014 3:20 PM - 4:02 PM 第7会場 (第2練習室)

座長: 佐伯宗弘(鳥取大学医学部附属病院 心臓血管外科)

3:20 PM - 4:02 PM

[P-8-1] 馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤に対しステントグラフトを用いた血管内治療を施行した1例

小池則匡1, 高橋徹1, 茂原淳1, 三木隆生1, 渋谷圭2, 竹吉泉1 (1.群馬大学 臓器病態外科学, 2.群馬大学 放射線診断核医学・画像診療部)

Keywords:AAA, EVAR

症例は64歳,男性。平成23年2月,他院での健診で馬蹄腎を合併した最大径38mmの腹部大動脈瘤が認められたため同年3月に当科に紹介された。その後,定期的なCTにて動脈瘤に対する経過観察をしていた。平成25年12月のCTで腹部大動脈瘤は最大径49mmに拡大していたため,手術の方針とした。他の所見として,右総腸骨動脈が23mmに拡大していた。また,馬蹄腎に関連して2本の副腎動脈(accessory renal artery)を確認した。1本は腹部大動脈瘤から起始する径5mmの動脈で,もう1本は右総腸骨動脈から起始する径2mmの動脈であった。馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤に対する開腹による人工血管置換術においては,腹部大動脈に騎乗する馬蹄腎や様々な変異がある副腎動脈に対する対処方法などの問題点がある。本症例の術前腎機能はeGFRが101.0ml/min/1.73mm2と正常範囲内であり,また正常部位から分岐する径5mmの左右腎動脈を1本ずつみとめていたため,ステントグラフトを用いた血管内治療の方針とした。平成26年3月,右内腸骨動脈,径5mmの副腎動脈1本および下腸間膜動脈に対してそれぞれコイル塞栓術を行った後,腹部大動脈ステントグラフト内挿術を行った。なお,右外腸骨動脈は屈曲していたためステントグラフト右脚~右外腸骨動脈にかけてself-expandable stentを追加留置した。術後経過は良好で術後7日目の軽快退院した。なお,退院時のeGFRは71.2ml/min/1.73mm2と正常範囲内であった。馬蹄腎を伴う腹部大動脈瘤に対する血管内治療の報告は稀であり,若干の文献的考察を加え報告する。