第55回日本脈管学会総会

講演情報

パネルディスカッション

下肢静脈瘤の血管内レーザー治療の合併症と対策

2014年10月31日(金) 10:20 〜 11:50 第2会場 (アイシアター)

座長: 春田直樹(たかの橋中央病院 血管外科), 杉山悟(広島逓信病院 外科)

10:20 〜 11:50

[PD-1-3] 下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術における合併症の検討

佐戸川弘之, 高瀬信弥, 若松大樹, 佐藤善之, 籠島彰人, 山本晃裕, 藤宮剛, 石田圭一, 入江翔一, 横山斉 (福島県立医科大学 心臓血管外科)

キーワード:endovenous laser ablation, varicose veins

 下肢静脈瘤治療に対する血管内レーザー焼灼術が2011年に保険適用となり,レーザー焼灼術(EVLA)がその治療の主体となってきている。教室では2003年よりEVLAを導入し,手術法の変遷とともに合併症についての対策を行ってきた。そこで教室での治療例について合併症を中心に検討し報告する。【対象と方法】2003年以降629例の慢性静脈不全症例に対し外科治療を施行した。そのうちEVLAを施行した160例197肢を対象とした。教室ではCEAP分類C2-3例の大伏在静脈(以下GSV)に逆流を有する例で,径9mm以下の例にEVLAを適応としてきた。その他は選択的ストリッピングを主に行い,C4ー6で不全穿通枝を有する例は内視鏡的処理を行っている。EVLAは半導体レーザーの810nm,980nmを使用,初期は高位結紮施行後に焼灼(HL群),2005年以降は高位結紮なし(NL群)。2009年以降は10mm以上の例は高位結紮を加えEVLAを施行し適応を拡大した(WHL群)。また2011年以降は,プローブの自動牽引装置を導入した。【結果】1)C2,3例に対するEVLAの逆流消失は98%であった。閉塞率は各群とも良好であった。合併症については,皮下出血,術後の疼痛はHL群に比べ,WHL群および自動牽引装置を使用後の例で少ない傾向が認められた。NL群の2肢(3.8%)に大腿静脈への血栓進展例(EHIT3度以上)が認められた。いずれも大腿静脈接合部(SFJ)近くのGSVの径が10mm以上の例であった。【結果】下肢静脈瘤の治療においてEVLAは遠隔成績は良好であるが,レーザーの焼灼条件の設定や手術手技の工夫により合併症の減少と適応の拡大が得られると考えられた。