第55回日本脈管学会総会

Presentation information

パネルディスカッション

下肢静脈瘤の血管内レーザー治療の合併症と対策

Fri. Oct 31, 2014 10:20 AM - 11:50 AM 第2会場 (アイシアター)

座長: 春田直樹(たかの橋中央病院 血管外科), 杉山悟(広島逓信病院 外科)

10:20 AM - 11:50 AM

[PD-1-6] EHIT,再疎通ゼロを目指す高位結紮併用レーザー焼灼術

星野祐二, 伊東啓行, 岡留健一郎 (済生会福岡総合病院 血管外科)

Keywords:Endovenous Laser Ablation, EHIT

【目的】血管内レーザー焼灼術は下肢静脈瘤のスタンダードな術式となっているが,常に考えなければならないポイントとして,その合併症としてのEHITや術後再発,再疎通等が挙げられる。特にSFJ部に瘤化や破格を認める症例や伏在静脈の径が1cm以上の症例等に対しては,予想外の合併症を引き起こす原因ともなり得,延いては術後再発,再疎通の原因となり得るものと考えられる。当科では上記の様な症例に対し,高位結紮併用レーザー焼灼術を積極的に行う事で合併症の予防,再発率の低下に寄与できるのではないかと考えている。今回,その治療成績と適応病態について報告する。【対象・方法】2012年8月から2014年4月までの下肢静脈瘤手術172例について検討を行った。内82例に高位結紮併用レーザー焼灼術(980nm diode laser)を行い,90例にシンプルなレーザー焼灼術を施行した。高位結紮併用を選択する基準としては,1.SFJ付近に瘤化,破格を認める症例 2.SFJ付近に太いtributaryを認める場合 3.伏在静脈本管の径が1cm以上とし,相対的な基準としてはC4以上のうっ滞性皮膚炎症例や,立ち仕事に従事する若年者とした。【結果】伏在静脈の性状及び患者背景の面で両群間にバイアスがかかっており単純比較はできないが,通常のレーザー焼灼術群中1例にclass4のEHITを認め,1例に再疎通を認めた。高位結紮併用レーザー焼灼術群では今のところEHIT,再疎通共に1例も認めていない。【結論】高位結紮併用レーザー焼灼術は,典型的ではない様な伏在静脈の亜型に対しても問題なくレーザー焼灼術で手術可能とできるだけではなく,周術期の合併症対策,術後再発率の低下に寄与できるのではないかと考えられた。