第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

Distal bypassの遠隔成績

2014年10月30日(木) 14:40 〜 15:10 第1会場 (ホール)

座長: 笹嶋唯博(社会福祉法人 仁生社 江戸川病院)

14:40 〜 15:10

[PR-1-3] 重症虚血肢におけるdistal bypassの遠隔治療成績~最近の傾向より~

古屋敦宏, 内田恒, 内田大貴, 東信良 (旭川医科大学 血管外科)

キーワード:clitical limb ischemia, distal bypass

【対象】2011年1月より2013年12月までの間に当院で実施した重症虚血肢(CLI)症例のうち,末梢バイパスを実施した症例は132例,153肢で,男女比は106例:26例,平均年齢は70.0歳±9.9歳であった。虚血重症度はFontaine IVが137肢(rutherfordV:95肢/VI:42肢)であった。併存疾患は,糖尿病99例,虚血性心疾患67例,透析治療を要する腎不全62例,脳血管疾患33例であった。【治療内容】Distal bypassの内訳は,大腿-膝窩バイパス:35肢,大腿-下腿・足部バイパス:53肢,膝窩-下腿・足部バイパス68肢(浅大腿動脈血管内治療を11肢に併施)であった。併施術式として腸骨動脈領域への再建を23肢(血管内治療:14肢/バイパス:8肢)に,また総大腿動脈病変併発19肢に対し血栓内膜摘除を併施した。使用した代用血管は,人工血管7肢:自家静脈:146肢(in situ:76肢,non-reversed:30肢,spliced 26肢,reversed:14肢)であった。【治療成績】追跡期間中に下肢大切断に至った症例は10肢(6.5%)であった。在院死亡は7例あり,死亡原因は敗血症が4例,心原性疾患が3例であった。グラフトの一次開存および二次開存は,12か月後で一次65.0%,二次76.9%,24か月後で一次56.8%,二次71.5%であった。【結語】CLI症例の患者背景として,ハイリスク化や高度石灰化病変合併による病変再燃などが増えてきており,血管内治療を併施した手術治療の侵襲軽減や,将来のバイパス修復や追加再建に備えた静脈材料の温存が必要と考える。