第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

間歇性跛行の運動療法

2014年10月30日(木) 16:40 〜 17:30 第3会場 (202会議室)

座長: 杉本郁夫(愛知医科大学 血管外科)

16:40 〜 17:30

[PR-12-1] 閉塞性動脈硬化症による間歇性跛行患者の運動療法前後の歩行様式に関する検討

芳賀真1, 村井昭彦2, 木村賢1, 牧野能久1, 須原正光1, 根元洋光1, 白須拓郎1, 望月康晃1, 松倉満1, 赤井隆文1, 谷口良輔1, 西山綾子1, 橋本拓弥1, 宮原拓也1, 保科克行1, 重松邦広1, 中村仁彦2, 渡邉聡明1 (1.東京大学 血管外科, 2.東京大学情報理工学系研究科)

キーワード:peripheral arterial disease, intermittent claudication

【目的】閉塞性動脈硬化症(PAD)による間歇性跛行(IC)患者の運動療法の効果は周知されているが,運動療法前後の歩行動作を比較・分析した研究は少ない。本研究の目的は運動療法前後の歩行動作を関節角,関節トルク,筋張力などの力学的出力や力学的エネルギーに着目して生体力学的に計測し,歩行様式の変化を評価する。【方法】PADと診断された1例の患者で週3回,3か月間の監視下運動療法を行った。監視下運動療法は当院の心臓リハビリテーション室で30~60分のエルゴメーターを利用して行った。監視下運動療法の前後に足関節上腕血圧比(ABI),近赤外線分光法(NIRS)を測定した。また,監視下運動療法の前,開始後一カ月,開始後2カ月にトレッドミル上を時速2.4km~3.6kmで歩行し,動作を解析した。本研究ではモーションキャプチャー,フォースプレート,筋電計を用いて,実験的に計測された運動情報から運動学・動力学的計算により歩行動作を生体力学的に解析し,運動療法前後の歩行動作を評価した。【結果】3カ月の運動療法ではABIは著変なく,NIRSは回復時間の短縮をみとめた。股関節角は運動療法前後で変化をみとめたが,膝関節及び足関節には明らかな変化をみとめなかった。【考察】PADによるIC患者では運動療法により歩行距離が増加し,跛行出現時間は延長するが,その他の過去の研究では股から足の関節,下肢筋力については運動療法前後で有意な変化は認めないという結果であった。当研究では従来とは異なった方法で運動を解析することにより運動療法後に股関節角に有意な変化をみとめた。今後は関節トルク,下肢筋群の解析を行うことにより運動療法前後の歩行様式の変化の有無を分析する予定である。