第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

保険収載された内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術2

2014年10月31日(金) 09:40 〜 10:20 第2会場 (アイシアター)

座長: 春田直樹(たかの橋中央病院 血管外科)

09:40 〜 10:20

[PR-15-3] 保険収載された内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(SEPS)の有用性と問題点

田淵篤, 正木久男, 柚木靖弘, 渡部芳子, 古川博史, 山澤隆彦, 滝内宏樹, 桑田憲明, 本田威, 種本和雄 (川崎医科大学 心臓血管外科)

キーワード:SEPS, varicose vein

【目的】下肢静脈瘤重症例に対するSEPSは先進医療として認定施設で行われてきたが,2014年4月から保険収載された。SEPSの有用性と問題点を検討する。【対象,方法】当科で2005年9月から2013年12月までにSEPSを行った75例,94肢を対象とした。男性29例,女性46例,平均年齢65.1歳で,CEAP分類は,C4b:45肢,C5:8肢,C6:41肢であった。手術は全身麻酔下にone port system(Richard Wolf社製ESDP870)にてSEPSを行った。筋膜切開して直視下に直径15mmの外筒を筋膜下腔に留置,鈍的に剥離して不全穿通枝を同定し,超音波切開凝固装置で切離した。SEPS単独施行例は12.8%であり,その他は同時にストリッピング,血管内レーザー治療を行った。【結果】深部静脈血栓症,出血などの重篤な合併症はなかった。venous clinical severity scoreは術前13.9,術後1ヵ月5.3,12ヵ月4.1と有意に改善した。潰瘍治癒率は91.1%,術後観察期間6-108ヵ月の潰瘍累積無再発率は95.1%であった。潰瘍治癒が得られなかった4例の背景は,深部静脈逆流残存,脳性麻痺による運動障害,広範囲植皮部位の潰瘍,骨髄炎を伴う骨折既往であった。【結語】SEPSは重大な合併症がなく,治療成績は良好であるが,症例を集積して詳細に検討し,手術適応は厳格に規定する必要があると考えられた。