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[PR-16-1] EVTアクセスルート温存のための外科的血行再建術の検討
キーワード:endovascular therapy, access route
【目的】今回われわれは外科的血行再建術後,鼠径部からのEVTアクセスルートを温存する目的で鼠径部を吻合口としないバイパス術の検討を行ったので報告する。【対象と方法】当科では2000年6月より人工血管使用例に限り,可能な限り総大腿動脈を吻合口としないバイパス術を採用しており,後の鼠径部からのEVTアクセスルート温存を計ってきた。2013年12月までに施行した外腸骨動脈末端を中枢または末梢吻合部とするバイパス術(以下I群)88例を対象とした。内訳は大動脈-外腸骨動脈バイパス11例,外腸骨-外腸骨動脈交叉バイパス34例,外腸骨-膝窩動脈バイパス43例であった。またそれ以前に施行した総大腿動脈を吻合口とする通常のバイパス術(以下F群)122例と比較検討を行った。F群の内訳は大動脈-総大腿動脈バイパス24例,大腿-大腿動脈交叉バイパス31例,大腿-膝窩動脈バイパス67例であった。検討項目は手術時間,出血量,累積開存率などとした。【結果】平均年齢はともに74歳,性別(男/女)はI群73/15,F群96/26で,合併症には差がなかった。手術時間はI群177.9±120分,F群195.3±82.6分で差はなく,出血量I群102±348g,F群126.6±290.3gとややF群に多かったが,有意差はなかった。累積開存率では両群間に差はなかった。【結語】鼠径部に吻合口を有する血行再建術のうちとくに人工血管を用いた場合は術後のEVTアクセスルートとなり難く,後のEVTに苦慮することが少なくない。本術式は後のグラフト救済を含めた広義のhybrid治療を行うことが容易で,妥当かつ有用な方法と考えられた。