第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

PADに対するハイブリッド治療

2014年10月31日(金) 13:00 〜 13:50 第2会場 (アイシアター)

座長: 重松邦広(東京大学医学部 血管外科), 和泉裕一(名寄市立総合病院 心臓血管外科)

13:00 〜 13:50

[PR-16-2] 下肢閉塞性動脈硬化症に対するハイブリッド血行再建症例の検討

高橋範子, 森前博文, 松下昌裕 (一宮市立市民病院)

キーワード:IVR, bypass surgery

【背景と目的】腸骨動脈領域と鼠径靭帯以下の末梢病変が混在する下肢閉塞性動脈硬化症(以下ASO)に対する治療として,近年では腸骨動脈病変に対する血管内治療(以下EVT)と鼠径靭帯以下の外科的血行再建術を併用するハイブリッド手術が標準治療となりつつある。当院でASOに対してハイブリッド血行再建術を行った症例を対象とし,治療の妥当性を検討した。【対象と方法】2003年8月から2014年6月までに当院でASOに対してハイブリッド血行再建術を行った26例(男性23例女性3例)28肢を対象とした。平均年齢は72.2±8.7歳であった。EVTの病変部位は総腸骨動脈(以下CIA)10肢,外腸骨動脈(以下EIA)10肢,CIA+EIA8肢であり,TASC分類ではA:11肢,B:9肢,C:3肢,D:5肢であった。血管拡張術を5肢,血管拡張+ステント留置術を23肢に施行した。EVTと同時に施行した外科的血行再建術の内訳は,大腿動脈血栓内膜摘除(以下TEA)7肢,大腿-膝窩動脈バイパス(以下FP)9肢,大腿-大腿動脈バイパス(以下FF)6肢,下腿バイパス6肢であった。対して,同期間におけるEVT無施行のTEAは11肢,FP42肢,FF8肢,下腿バイパス45肢であった。術後早期成績と開存率を後ろ向きに検討した。【結果】術後30日以内の早期閉塞,大切断は無かった。FPバイパスの2例が術後1年以内に大切断に至った。開存率はTEAが3年100%,FPが1年77.8%3年77.8%,FFが3年100%,下腿バイパスが3年100%であった。【結語】腸骨動脈病変に対するEVTを行い,同時にそれより末梢の外科的血行再建術を行うことで良好な開存率が得られた。腸骨動脈病変と末梢病変が混在するASOに対する治療として,ハイブリッド血行再建術は有用な治療法と考えられた。