第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

腹部大動脈瘤破裂に対するステントグラフト治療1

2014年10月30日(木) 09:00 〜 09:40 第2会場 (アイシアター)

座長: 山本清人(名古屋大学大学院医学系研究科 血管外科学), 小野原俊博(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター)

09:00 〜 09:40

[PR-2-4] 当科における破裂性腹部大動脈瘤に対する腹部ステントグラフト術の治療成績

萩原慎, 手塚雅博, 瀧澤玲央, 馬場健, 福島宗一郎, 原正幸, 前田剛志, 立原啓正, 金岡祐司, 石田厚, 大木隆生 (東京慈恵会医科大学附属病院 外科学講座 血管外科)

キーワード:RAAA, EVAR

【はじめに】非破裂性腹部大動脈瘤に対する腹部ステントグラフト術(EVAR)は腹部大動脈瘤治療の一つとして定着し,良好な成績を上げている。しかしその一方で,破裂性腹部大動脈瘤(RAAA)に対する治療成績はいまだ満足すべきものではなく,ここ数十年の間,劇的な改善もみられていない。今回我々はRAAAに対するEVARの成績について検討した。【対象】過去7年に当科でEVARを行ったRAAA14例(Pararenal AAA:2例を含む)を対象とした(切迫破裂を除く)。平均年齢76歳(54-86),男性:12例(86%)・女性:2例(14%),最大短径は68mm(38-90)であった。Fitzgerald分類はI型4例(28%),II型3例(21%),III型1例(7%),IV型6例(43%),術前に血圧80mmHg以下のショックは8例(57%)に認めた。ショック症例には局所麻酔で大腿動脈から遮断用バルンを挿入して麻酔導入を行った。【結果】平均手術時間179分(100-411),平均出血量1,550mL(100-6,600),平均透視時間43分(19-99),平均造影剤量244mL(90-500)であった。使用デバイスはExcluder:13例,Zenith:1例(自作Fenestrated)で,術中追加処置としては内腸骨動脈コイル塞栓7例,腎動脈ステント3例で,EVAR後腹部コンパートメントのため試験開腹と開腹血腫ドレナージを1例ずつ行った。生存は11例(79%)で,死亡は術後1日目に出血性ショックで2例,術後25日目に多臓器不全で1例の計3例(21%)に認め,Fitzgerald分類ではI型1例,II型1例,IV型1例であった。また死亡例は,全例80歳以上で術前にショック状態であった。【結語】予後不良であるRAAAに対するEVARの治療成績はある程度満足できるものであったが,高齢のショック症例に対してはさらなる改善が求められる。