腹部大動脈瘤破裂に対するステントグラフト治療2

[PR-3-3] 破裂性腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤の手術症例の検討

^〇齋藤孝晶¹, 三岡博¹, 東茂樹² (1.静岡赤十字病院 血管外科, 2.静岡赤十字病院 心臓外科)

キーワード：ruptured aortic aneurysm, EVAR

【背景】破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)や破裂性腸骨動脈瘤(rIAA)は従来，人工血管置換術が標準的治療とされてきたが，近年ではEVARによる治療成績が良好とする報告が散見される。【目的】当院で行ったrAAAとrIAAの手術症例について，開腹手術(O群)とEVAR(E群)で治療成績の比較検討を行い報告する。【方法】当院で企業性デバイスによるEVARを開始した2008年11月から2014年5月までのrAAAとrIAAの手術症例，全24例を検討の対象とした。O群が10例，E群が14例であった。当該期間において当院では，EVARが可能なrAAAおよびrIAAに対し積極的にEVARを選択する方針とした。【結果】男女比はO群9:1，E群 9:5であり，平均年齢はO群74.5歳，E群74.9歳であった。O群ではrAAA 9例，rIAA 1例で，E群ではrAAA 13例，rIAA 1例であった。O群の症例に人工血管置換術を選択した理由は消化管穿破が2例，傍腎動脈のrAAAが3例，アクセスの不良が2例，大動脈中枢側の解離が1例，患者側要因によらないものが2例であった。E群で使用したデバイスはExcluder 12例，Zenith 2例であった。死亡率はO群 30％，E群 14.2％であった。生存例の平均在院日数はO群35.9日，E群27.3日であった。E群において，経過観察中に1b型エンドリークにより追加治療を要したものが1例あった。【考察】rAAA，rIAAに対するEVARは病態や解剖学的要因により適応は制約を受けるが，年齢などの患者背景には両群間に大きな差異はなく，E群の死亡率，入院日数はO群より良好な成績であった。EVAR特有の術後合併症の頻度も高くなかった。【まとめ】rAAA，rIAAに対する治療手段として，EVARの有用性が示唆されたと考えられた。