第55回日本脈管学会総会

Presentation information

会長要望演題

大動脈解離に対するステントグラフト治療1

Thu. Oct 30, 2014 4:20 PM - 5:00 PM 第2会場 (アイシアター)

座長: 蜂谷貴(慶應義塾大学医学部 心臓血管外科)

4:20 PM - 5:00 PM

[PR-4-4] 偽腔開存型Stanford B型慢性大動脈解離による胸部大動脈瘤に対するTEVAR治療の経験

島袋勝也, 三っ田翔平, 水野裕介, 石田成吏洋, 竹村博文 (岐阜大学 高度先進外科)

Keywords:Stanford B, TEVAR

【目的】当科で経験した偽腔開存型Stanford B型慢性大動脈解離による胸部大動脈瘤症例に対するTEVAR治療の成績について検討した。【対象・方法】2010年9月以降Stanford B型慢性大動脈解離に対する治療は17症例(人工血管置換術7例,TEVAR治療10例)であった。今回TEVAR治療を選択した10症例について検討した。【結果】平均年齢69.2±7.0歳,男女比6:4。10症例の内訳は胸部ULP型4例,偽腔開存型胸部または胸腹部大動脈瘤6例,解離発症から治療まで期間は平均59±25か月,大血管治療既往歴としてtotal arch2例,上行置換術3例,AAA手術1例であった。手術は2症例が腋窩-腋窩バイパスを併用し,アクセスルートとしてEIA3例,CFA7例,entry閉鎖数は1か所8例,2か所1例,3か所1例であった。手術平均時間120±41分,MAP2単位を1症例に使用した。合併症はなく全例独歩退院した。平均追跡期間は18か月(3-36か月)で脳出血を1例認めたが動脈瘤関連合併症は認めなかった。術後follow-up CTにてULP4症例はすべて血栓化と瘤径の縮小を認めた。偽腔開存型胸部または胸腹部大動脈瘤6症例においても胸部動脈瘤は全例血栓化を認め術前最大径58±9mmから術後41±7mmと縮小を認めた。腹部領域にentryが残存している4症例も腹部動脈の拡大は認めず,TEVARと同時に腹部のentry閉鎖も同時に行った2症例は偽腔の完全血栓化と縮小を認めた。【結語】当科で経験したStanford B型慢性大動脈解離症例に対するステントグラフトを用いたentry閉鎖は全症例で瘤径の縮小を認め良好な結果であった。中期,長期成績が不明とはいえども人工血管置換術が大きな侵襲となる本疾患にはTEVARによる治療は有用になり得る可能性があると考える。