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[PR-5-4] 急性大動脈解離に対するTEVARおよびハイブリッド治療
Keywords:TEVAR, AORTIC DISSECTION
【目的】急性大動脈解離に対するTEVARは,新たな治療戦略として注目され,日本では2011年のJCSガイドラインでClass 1の推奨を与えた。急性大動脈解離のcomplicated case(CC)に対して,TEVARを用いて治療を行い,初期成績を検討した。【対象と方法】2008年より2014年5月まで我々が経験したTEVARは199例で,その内急性及び慢性期の大動脈解離に対するTEVARは74例(37%)であった。74例の内,慢性期のULPの拡大や瘤径拡大に対して行なったものは62例(84%)。急性期のCCは12例(16%)であった。12例の内訳は急性A型が5例,急性B型が7例で,急性A型の5例は,先行して弓部大動脈全置換術(TAR)を2例に,または同時施行で上行及び近位弓部大動脈置換術(HAR)を3例に行なった。手術適応は破裂が5例,malperfusionが7例であった。年齢は62±14歳(40~85),男女比は9:4。【結果】発症から治療(TEVAR)までの時間は0~11日で平均3日であった。全例下行大動脈中心への留置で中枢側はZ2が1例,Z3が11例であった。追加ステントは左総頸動脈1例,総腸骨動脈1例,腹部大動脈1例。成功率は100%で,手術死亡はなし。経過中死亡は肺癌の手術既往のある症例が1例気胸にて6ヶ月後に死亡した。使用デバイスはGore TAGが8例,COOK TX2が3例であった。【結語】急性大動脈解離のCCに対するTEVARは急性B型の症例に有効であるが,A型の症例でも,上行弓部全置換術や上行近位弓部置換術と組み合わせる事により低侵襲で効果のある治療を行なう事が出来る。現在平均20ヶ月程の観察期間であるが,経過を詳細に検討する事が重要である。