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[PR-5-3] B型大動脈解離に対するステントグラフト治療の検討
Keywords:Aortic dissection, stentgraft
【背景】B型大動脈解離は破裂や臓器虚血を伴わない限り急性期は降圧安静療法を行い,その後拡破裂の可能性が高くなるまで経過観察されてきた。しかし,慢性期の広範囲な解離性大動脈瘤の外科的治療は満足できる成績でなく,当科ではB型大動脈解離症例に対し,積極的にステントグラフトによるエントリー閉鎖を行っている。【対象】発症時解離腔が開存し大動脈最大径が40mmを超える症例を比較的早期(発症後1年以内)に,また最大径が55mmを超える慢性期症例にステントグラフト治療を行っている。2008年8月以降,B型大動脈解離に対してステントグラフト治療を行い術後6ヶ月以上経過観察し得た症例は31例であった。用いたステントグラフトは自作2例,TAG(C-TAG)20例,Excluder Cuff2例,Relay7例であった。手術時期は緊急2例,早期(緊急以外の発症後1年以内)17例,慢性期(発症後1年以上)12例であった。【結果】ステントグラフト留置は全例で成功し,primaryエントリーの閉鎖は28例(90.3%)で成功した。2例(6.5%)にわずかな中枢側エンドリークを認めた。2例(6.5%)がグラフト感染をおこし,人工血管置換術に移行し,1例(3.2%)がA型解離を発症し上行弓部置換を追加した。在院死亡は0例(0%)であった。術後6ヶ月以上経過し解離腔の完全な血栓化を得た症例は外科手術に移行した3例を除いて28例中10例(35.7%)であった。血管径の縮小は28例中22例(78.6%)に認めた。28例中2例(7.1%)に新たなtearを認めた。周術期に脳梗塞,対麻痺などの合併症は認めなかった。【まとめ】初期成績は比較的良好であったが,まだまだ問題点も多く,今後慎重に適応の判断,経過を追う必要があると思われた。