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[PR-6-4] 大腿-大腿動脈交叉バイパス術後の人工血管感染の一例
Keywords:infection, graft
症例は,72歳・女性。1994年子宮癌に対して,手術および放射線療法を施行した。その後右外腸骨動脈閉塞を来たし,2011年7月近医にて,大腿-大腿動脈交叉バイパス術が施行された。2014年3月に人工血管の走行に沿って発赤が出現し,膿瘍形成した。その後下腹部正中から膿瘍は自壊・排膿後,人工血管が露出したため当院紹介受診となった。創培養からStreptococcus agalactiaeを検出された。炎症が消退した後,手術を施行した。手術は,まず左下腹部から,左外腸骨動脈を確保し,左大腿中央部から左浅大腿動脈を確保し,左腸骨稜前面を経由して左外腸骨-浅大腿動脈外側バイパス術を施行した。次に,感染した人工血管は,浅大腿と大腿深動脈分岐手前で吻合されていたので,吻合部中枢側・末梢側をそれぞれ結紮し,人工血管を除去した。右側は,浅大腿と大腿深動脈分岐部で吻合されていたので,中枢側を結紮後,末梢側は性状が良いところまで浅大腿と大腿深動脈を剥離した。大腿深動脈からのback flowが十分であることを確認した後に,浅大腿と大腿深動脈を端々吻合し,人工血管を完全に抜去した。右下肢は冷感を認め,術後ABIは,測定不能であったが安静時疼痛がなく歩行可能であったため,一旦退院し,同年6月に二期手術を施行した。二期手術は,右腸骨稜前面を経由して右鎖骨下-浅大腿動脈外側バイパス術を施行した。