第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

SFAの血管内治療

2014年10月30日(木) 11:10 〜 11:50 第3会場 (202会議室)

座長: 遠藤將光(独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター 心臓血管外科)

11:10 〜 11:50

[PR-8-2] SFA閉塞症例に対する血管内治療の成績

原田裕久1,2, 関本康人1, 松井淳一1, 尾原秀明2, 松原健太郎2, 北川雄光2 (1.東京歯科大学 市川総合病院 外科, 2.慶應義塾大学 外科)

キーワード:EVT, SFA

近年の技術の進歩とデバイスの進化に伴い,浅大腿動脈(SFA)閉塞症例に対する血管内治療(EVT)は良好な成績が報告されている。自施設におけるSFA閉塞に対するEVTの成績を同時期に施行した外科的バイパス手術の成績と比較検討した。【対象症例】2008年1月~2013年12月に,当科にて血行再建を行ったSFA閉塞症例155例168肢。うちEVTを101例111肢(66%),バイパス手術を54例57肢(34%)に行った。【結果】患者背景においては,合併疾患では両群に差を認めなかったが,EVT群でTASC Dが28肢(25%)に対し,バイパス群では33肢(58%,p<0.05)と有意に重症症例が多かった。ともに在院死亡はなく,重症合併症はEVT群で3例(3.0%),バイパス群で4例(7.4%,NS)に生じた。観察期間内での開存率は,一次開存がEVT群88肢(79%):バイパス群47肢(82%,NS),二次開存がEVT群96肢(86%):バイパス群51肢(89%,NS)であり両群に差を認めなかった。EVTでは2011年まではバルン拡張のみを原則とし,ステントはbail outのみとしていたが,2012年以降はprimary stentingを積極的に行い,ステント留置症例81肢の一次開存は73肢(90%)と良好であった。平均在院日数はEVT群で4.1日,バイパス群で13.3日とEVT群で有意に短かった。【考察】本検討においては術前重症度にバイアスが存在するため単純な比較はできないが,バイパスと比較してEVTの低侵襲性と良好な成績が示唆され,特にステント留置症例の一次開存はきわめて良好であった。【結語】SFAの閉塞に対するEVTの成績はバイパスと同様に良好であり,その低侵襲性は明らかであった。適応を誤らない限りは第一選択とすべき手法であると考えられた。