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[PR-9-1] 高齢者胸部大血管手術における早期リハビリテーション介入の意義と必要性
キーワード:cardiac rehabilitation, thoracic aortic aneurysm
【目的】高齢者胸部大血管手術症例における術後の離床とADL獲得状況から術後心臓リハビリテーション(CR)早期介入の必要性とその意義について検討した。【方法】症例は2000年4月から2014年5月までに当科で施行した75歳以上高齢者胸部大血管手術生存退院68例(平均年齢79.8±3.6歳,男女比=42:26)を対象とした。解離性大動脈瘤35例,真性大動脈瘤32例,外傷性大動脈瘤1例で,緊急及び準緊急手術を22例に行った。術後は一般的なリハビリテーションのみを行った。周術期経過と離床状況,退院時ADLについてretrospectiveに検討した。【結果】手術は弓部全置換術30例,上行+弓部部分置換術22例,下行置換術12例,上行置換術2例,遠位弓部部分置換+下行置換術2例であった。術後72時間以上人工呼吸器管理を18例に必要とし,平均ICU滞在期間は4.9±4.9日であった。術後合併症は胸水貯留を39例に認め,平均12.0±8.9日で酸素吸入を必要とし離床遅延の一因と考えられた。退院時歩行困難症例は19例で,離床可能49例の平均離床日数は10.9±9.9日と遅延していた。退院時Taylor分類は平均1.7±0.5(T0:寝たきり2例,T1:車いす17例,T2:歩行可能49例)で,退院時ADLはBarthel index 69.9±16.8と高度に低下していた。術後入院期間は平均35.8±43.9日と遅延し,68例中32例はリハビリ目的で転院となった。【考察及び結語】75歳以上高齢者胸部大血管手術では,手術侵襲により離床が遅延し廃用が残存するため,退院時ADLが高度に低下し社会復帰が遅れていた。早期離床と早期ADL獲得のためには,外科的侵襲の軽減と厳重な周術期管理とともに,早期CRの積極的導入と個別のCRプログラムの構築が必要であると考えられた。