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[PR-9-3] Frailtyを呈した心臓外科手術症例に対し術前運動療法が有効であった一症例
キーワード:Frailty, Cardiovascular surgery
【目的】近年,低侵襲手術や周術期管理の進歩により,早期退院が可能となっている。しかし,対象者の高齢化が進み,併存疾患を伴うfrailty(虚弱)を有する症例まで適応が拡大している。今回,frailtyを呈した症例に手術前より運動療法を実施し,良好な経過を得たので報告する。【症例】年齢:75歳,性別:女性,BMI:25.8。疾患名:大動脈弁狭窄症,たこつぼ型心筋症による心不全。現病歴:H26.2.3:他院に心不全で入院,人工呼吸器管理となる。2.17:手術目的で救急搬送となる。既往歴:脳梗塞。心エコー:EF:53%,ASsevereであった。labo:BNP:326.5pg/ml,ALB:2.6g/dl。入院前ADL:屋内:伝い歩き,シルバーカー歩行。心不全コントロール後,可能な限り栄養状態,ADL改善してから手術とする方針となり,入院28日目にAVR(右小開胸MICS)を施行した。【経過】術前のリハビリは人工呼吸器を離脱した入院3日目より開始した。介入時のADLは全介助,clinical Frailty scale(CHSA):8と著名な虚弱を呈しており,手術後歩行自立の確率を予測するモデルでは4日:7.6%,8日:20.4%,14日:20.4%の状態であった。早期にリハビリを介入したが,心不全増悪の可能性が高く,運動負荷量の調整に難渋しADL向上が遅延した。そこで,リフト付き歩行器を使用し,過度の運動負荷を避けるように歩行練習を進めた。その後,歩行能力も改善し,入院21日目より監視型運動療法を開始し,手術前日までに歩行を獲得,CHSA:6,予測モデルは4日:41.9%,8日:73.7%,14日:82.8%と改善した。手術後は翌日より離床を進め,合併症もなく術後11日目に入院前歩行を獲得した。【結語】術前の運動療法はfrailtyを改善し,術後成績向上に有益である可能性があった。