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[PR-9-6] 当センターにおける開心術後心臓リハビリテーション
キーワード:cardiac rehabilitation, open heart surgery
【目的】開心術後患者に対する運動療法は,ガイドラインにおいてクラス1およびエビデンスレベルAで推奨されている。今回,当センターにおける開心術後の心臓リハビリテーション(CR)を検討した。【対象と方法】2006年11月~2014年5月に当センターで開心術を施行した2499例を対象とした。急性期(ICU)は,手術翌日に医師,看護師,理学療法士による合同カンファレンスで術前状態や周術期経過等を協議してリハビリ計画を立案し,その後は看護師と理学療法士の主導でADLを上げていった。前期回復期(一般病棟)は,300m歩行訓練が終了した時点で検査データや創状態等を協議した後,監視型集団運動療法へ移行した。退院後は参加希望者に外来通院による後期回復期CRを行った。【結果】同時期の開心術後CR総施行件数は35708件であった。運動療法中に出現した合併症は歩行訓練中の低血糖と一過性脳虚血の2例(0.006%)のみで,全期間を通じて重大心事故は皆無であった。急性期からの介入により約9割の症例が独歩可能な状態でICUを退室し,歩行能力獲得期間や入院期間の短縮に貢献した。転棟後の集団運動療法への移行率は50%であり,心肺運動負荷試験(CPX)による運動処方を行った症例は28%であった。退院後の外来CR参加率は全症例の11%と少なかったが,そのうち術後CRを約5か月間継続した31例におけるAT-VO2(ml/kg/min)は開始時9.7→終了時12.7と有意に上昇していた(p<0.001)。【結語】医師を含めたスタッフ間の密な連携によって,開心術後CRは安全に施行可能であり,術後の運動耐容能も有意に改善した。外来CR参加率の向上および在宅における維持期CRのシステム構築が今後の課題である。