11:00 〜 11:30
[SP-1-1] バージャー病はいわゆる血管炎か?
東京医科歯科大学在籍中から、多くの人々とバージャー病の臨床研究ならびに基礎研究に打ち込んできた。約12年間である。特に、学内歯学部、研究所との協調が大きな柱である。
バージャー病が他の高安病や膠原病性血管炎に比べて異なるところは、血栓そのものと隣接する血管壁との反応は明らかであるが、血栓のない部位はほぼ正常であること、血管(動脈)構造が比較的よく保たれていること、ステロイドが効かないこと、喫煙と絡んだ口腔内衛生状態にかかわっていること、高頻度に静脈病変があることなどである。
バージャー病患者14名から動脈閉塞部位を採取し、93%に歯周病菌DNAを検出できたのが2004年頃である。口腔内の歯周病菌と同一のものであった。この新発見に続いて、嫌気性の歯周病菌が血中の血小板内にとどまることができること、さらに菌により血小板凝集塊ができることが判った。この2つは、感染説を出したBuergerやAllenの時代には果たしえなかった方法である。
患者は、末梢の動脈閉塞や静脈炎などから突然発症する。血小板凝集塊の塞栓症を思わせ、表在静脈炎は感染の様相を呈する。高頻度に静脈不全があり、足部のerythromelia(rubor)はそれで説明できる。
歯周病菌に対するIgGの上昇、HLAやCD14など遺伝子関連性、動物実験などから、バージャー病はいわゆる血管炎と異なり、血栓炎を中心とした血管病であろうと推測するに至った。
若い人に発症する本疾患は、煙草が歯周病を悪化せ、禁煙すれば歯周病は落ち着き、病勢に大きな影響をもたらすことが判っている。特異的な血液検査法がなく、全身的な閉塞性血管病であることも判明している。
十代、二十代で発症しても、禁煙ができて運動療法や交感神経遮断を行えば、日常生活に支障がないほどに回復しスキーも楽しめる。しかし、患者は減少傾向とはいえ、初期患者は依然多い可能性がある。
450gほどのラットの大腿動脈に歯周病菌(Pg)の入った液を入れて観察すると、4週間でバージャー病変にみられるような内弾性板の断裂や二重構造化が見られ、血栓炎の広がりが理解できた。
動物実験の継続と、アジスロマイシンなどの長期に歯周病菌を消滅できる抗生剤を利用した研究、疫学検討などによりさらなる病態解明の手掛かりが得られるものと確信している。
バージャー病が他の高安病や膠原病性血管炎に比べて異なるところは、血栓そのものと隣接する血管壁との反応は明らかであるが、血栓のない部位はほぼ正常であること、血管(動脈)構造が比較的よく保たれていること、ステロイドが効かないこと、喫煙と絡んだ口腔内衛生状態にかかわっていること、高頻度に静脈病変があることなどである。
バージャー病患者14名から動脈閉塞部位を採取し、93%に歯周病菌DNAを検出できたのが2004年頃である。口腔内の歯周病菌と同一のものであった。この新発見に続いて、嫌気性の歯周病菌が血中の血小板内にとどまることができること、さらに菌により血小板凝集塊ができることが判った。この2つは、感染説を出したBuergerやAllenの時代には果たしえなかった方法である。
患者は、末梢の動脈閉塞や静脈炎などから突然発症する。血小板凝集塊の塞栓症を思わせ、表在静脈炎は感染の様相を呈する。高頻度に静脈不全があり、足部のerythromelia(rubor)はそれで説明できる。
歯周病菌に対するIgGの上昇、HLAやCD14など遺伝子関連性、動物実験などから、バージャー病はいわゆる血管炎と異なり、血栓炎を中心とした血管病であろうと推測するに至った。
若い人に発症する本疾患は、煙草が歯周病を悪化せ、禁煙すれば歯周病は落ち着き、病勢に大きな影響をもたらすことが判っている。特異的な血液検査法がなく、全身的な閉塞性血管病であることも判明している。
十代、二十代で発症しても、禁煙ができて運動療法や交感神経遮断を行えば、日常生活に支障がないほどに回復しスキーも楽しめる。しかし、患者は減少傾向とはいえ、初期患者は依然多い可能性がある。
450gほどのラットの大腿動脈に歯周病菌(Pg)の入った液を入れて観察すると、4週間でバージャー病変にみられるような内弾性板の断裂や二重構造化が見られ、血栓炎の広がりが理解できた。
動物実験の継続と、アジスロマイシンなどの長期に歯周病菌を消滅できる抗生剤を利用した研究、疫学検討などによりさらなる病態解明の手掛かりが得られるものと確信している。