第55回日本脈管学会総会

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シンポジウム

Vascular teamによる重症虚血肢の治療

Thu. Oct 30, 2014 9:00 AM - 10:30 AM 第1会場 (ホール)

座長: 東信良(旭川医科大学 外科学講座 血管外科学分野), 井上芳徳(東京医科歯科大学医学部 血管外科)

9:00 AM - 10:30 AM

[SY-1-5] 重症虚血肢治療のためのVascular teamにおける形成外科医の役割

井野康1, 古山正2, 奈田慎一2, 小野原俊博2 (1.国立病院機構 九州医療センター 形成外科, 2.国立病院機構 九州医療センター 血管外科)

Keywords:PAD, SPP

【目的】当院では血管内治療を含め血行再建術は血管外科医が行い,足趾切断や潰瘍・断端の管理は形成外科が関与してチーム医療を行っている。形成外科が関わった難治性足潰瘍を有する患者の治療成績について検討した。【対象と方法】2007年6月から2014年6月までの期間に,難治性足潰瘍を有する患者82例101肢中,血行再建(バイパス術32肢,血管内治療55肢)を行った69例87肢(男性42例,女性27例,平均年齢74.5歳)を対象とした。尚,13例14肢は全身状態もしくは解剖学的非適応で血行再建を施行せず,一次切断および保存的治療を行った。足背と足底で皮膚還流圧(skin perfusion pressure:SPP)を測定し,血行再建による血流改善の評価および創の治癒を検討した。創治癒は,形成外科が潰瘍治療を開始後3ヶ月以内に大切断を回避し,かつ,創閉鎖が得られたものとした。【結果】血行再建群の術後の足背および足底のSPPは,それぞれ,53.4mmHgおよび51.6mmHgであり,術前より有意に増加し,87肢中61肢(70%)の足部以下での血流改善を認めた。バイパス群88%,血管内治療群60%で創治癒が得られ,血行再建術式,感染,SPPの改善の有無が,治癒率に影響していた。1年および3年非切断生存率は,それぞれ,バイパス群で56%,22%であり,血管内治療群で53%,16%であった。また,再建血管の閉塞・狭窄症例において,創内持続陰圧洗浄療法や局所陰圧閉鎖療法を用いることで創治癒し得た症例も認めた。【結論】重症虚血肢治療には血行再建術のみならず創管理も重要である。Vascular teamにおいて形成外科医が積極的に関与することにより難治性足潰瘍の妥当な治癒率が得られ,患者のADLと生命予後の改善に寄与した。