第55回日本脈管学会総会

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シンポジウム

Vascular teamによる重症虚血肢の治療

Thu. Oct 30, 2014 9:00 AM - 10:30 AM 第1会場 (ホール)

座長: 東信良(旭川医科大学 外科学講座 血管外科学分野), 井上芳徳(東京医科歯科大学医学部 血管外科)

9:00 AM - 10:30 AM

[SY-1-6] 職種間・施設間連携実現のための施設としての取り組み

土田博光1, 小野功善2, 青柳幸江3, 柿岡慶次郎4 (1.誠潤会水戸病院 心臓血管外科, 2.誠潤会水戸病院 Vascular Lab., 3.誠潤会水戸病院 Vascular Unit, 4.誠潤会水戸病院 心臓・血管リハビリテーションセンター)

Keywords:peripheral arterial disease, vascular team

重症虚血肢(CLI)治療の質を向上させるために,職種間,施設間連携の重要性は言うまでもない。しかし単なる「分業」では「チーム」としてのメリットは少ない。実のある連携を進めるためには,言葉だけでなく具体的対策が必要である。施設内でフットケアチームを組織するのも1案であるが,大規模施設ほどチームの立ち上げは難しく,成功してもチームのみ孤立する危険がある。このような現実を踏まえ,意識せずに多職種が関与しうる「場」を提供することをコンセプトに新病院を建設した。フットケア外来を目的とした処置室,外来に隣接して機能検査のできるバスキュラーラボ,カテ室は廃止し複数診療科の医師がともに働くハイブリッド手術室,心リハ用の有酸素機器のみでなくROM訓練等のスペースを持つリハ室,診療科別でない病棟をつくり,「医局」も廃止し多職種管理職共同のexecutive officeとした。また,院長間で了解をとり医師が複数施設で容易に働ける体制をとった。開設後10ヶ月が経過したので,目的が実現したか,旧,現施設ともに継続勤務している医療職32名を対象に聞き取り調査した。また,平均在院日数,紹介患者数,手術数の増減も検討した。職員の78%が職種間連携が改善,63%が施設間連携が改善したと回答した。また,平均在院日数は20.7日から13.1日に短縮。同期間での紹介率は36%,手術件数は45%増加した。以上の結果から,主にトップダウンによるハード面からの工夫が連携改善に効果があり,病院運営指標にも好影響を与えたことが示唆された。さらなる連携改善のため,既に関連施設間で画像データ共有を進めているが,やがては施設間でカルテ共有の実現を夢見ている。