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[SY-2-1] 慢性虚血肢に対する治療戦略のパラダイムシフト―内膜肥厚抑制効果と血管新生療法の最前線―
キーワード:Gene Therapy, angiogenesis
【目的】慢性虚血肢で問題になる血行再建後の吻合部内膜肥厚と血行再建困難症例に対する血管新生療法での救肢の可能性を検討する。【対象】慢性虚血肢モデル動物及び薬物治療に無反応で血行再建困難な重症虚血肢症例。【方法】イヌ,ウサギの慢性虚血肢モデルに自家静脈グラフトを移植し,I.内膜肥厚のメカニズムを検討し,II-1.NO(一酸化窒素)を補充すること,II-2.FGF2により血管新生させることで内膜肥厚抑制効果を検討した。III.重症虚血肢症例に対し血管新生因子FGF2遺伝子搭載組み換えセンダイウイルスベクター(DVC1-0101)を5x107 ciu/60kg~5x109 ciu/60kgまで用量漸増し,エンドポイントは,安全性で3例/ステージの全4ステージで施行した。【結果】実験的慢性虚血肢モデルにおける吻合部内膜肥厚の原因の一つとしてI.NOの低下が考えられ,II-1.補充することにより内膜肥厚抑制に成功した。またII-2.血管新生療法によりrun off改善することにより内膜肥厚抑制効果を認めた。血管新生のメカニズムとしてFGF2による下流で複数の内因性血管新生因子群が多段階的に誘導されることを基礎実験で解明した。III.DVC1-0101による臨床試験は,認容性は高く,全身に及ぼす影響も少なかった。歩行機能,安静時疼痛の改善に寄与する可能性が示唆された。【考察】脈管基礎研究の進化により,臨床試験可能となり慢性虚血肢に対する創薬の可能性が期待できる。今後は,DVC1-0101による高度間歇性跛行に対する医師主導治験(PhaseIIb)を施行予定である。