弓部大動脈瘤に対するステントグラフト治療 (chimney vs debranching)

[SY-4-3] Najuta stentgraftを使用したTEVARの中期成績

^〇岩越真一¹, 市橋成夫¹, 伊藤博文¹, 多林伸起², 阪口昇二³, 吉川公彦¹ (1.奈良県立医科大学 放射線科, 2.奈良県立大学 胸部心臓血管外科, 3.松原徳洲会病院 大動脈ステントグラフト・血管内治療科)

キーワード：TEVAR, Najuta

【目的】一般的に遠位弓部大動脈瘤は，大動脈弓の屈曲や頸部分枝の存在により，ステントグラフト治療は困難となる。その為，開窓付きのプリシェイプ構造を有するNajuta stentgraft systemが開発された。Najuta stentgraftを使用したTEVAR(Thoracic endovascular aneurysm repair)の臨床成績について評価する。【方法】2007年7月から2013年7月までに，関連施設でNajuta stentgraftを使用したTEVARを施行された患者38例。平均年齢は74.2±9.5歳。男性27例。手技的成功率，合併症，全生存率，大動脈関連死亡回避率，動脈瘤増大回避率，頸部分枝の開存について検討した。【成績】平均フォロー期間は2.51±1.7年，70本の頸部分枝(腕頭動脈;30，左総頚動脈;30，左鎖骨下動脈;10)が開窓により温存された。4例にtype1 endoleak認め，手技的成功率は92.1％であった。合併症は4例(StanfordA型解離；2例，脳梗塞；1例，腹腔動脈閉塞；1例)であった。30日以内の死亡は見られなかった。3年での全生存率は71.5％，大動脈関連死亡回避率は97.1％，動脈瘤増大回避率は84.8％であった。観察期間内に頸部分枝の閉塞は見られなかった。【結論】Najuta stentgraft systemを使用したTEVARの周術期および中期の成績は良好であった。特に頸部分枝閉塞は見られず，開窓の安全性が示唆された。