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[SY-4-6] 弓部大動脈瘤に対するchimney graft technique併用TEVARの早期・中期成績
キーワード:chimney graft technique, TEVAR
【目的】弓部大動脈瘤またはB型大動脈解離に対するchimney graft technique(CGT)併用TEVARの早期ならびに中期成績より適応を知ること。【対象と方法】2010年7月より2014年1月までに施行した弓部大動脈瘤またはB型大動脈解離(TBD)に対するCGT併用TEVAR 21例(弓部大動脈瘤19例,急性または慢性TBD2例)を対象とした。Single chimney(SC)11例(左総頚動脈温存(LCCA)9例,左鎖骨下動脈温存2例)とdouble chimney(DC)10例(すべて腕頭動脈とLCCA温存)の早期・中期成績を比較した。大動脈瘤径は両群間で差はなく,中枢側ランディングゾーン径はSC 34±3mmとDC 38±2mm,使用グラフト径はそれぞれ37±4mmと42±2mm,chimney長は27±6mmと38±11mmであり,後者が有意に大であった。平均観察期間はSC 16±13か月,DC 13±5か月で有意差はなかった。【結果】X線透視時間はSC 16±5分,DC 27±8分,手術時間はそれぞれ143±46分と225±76分とDCで有意に長時間であった。早期死亡,術後脳梗塞は両群共になく,両群で各1例に不全対麻痺が発生した。退院時type IaエンドリークはSC 2例,DC 1例で発生し,中期にSCの2例は自然消失したが,DCの1例は金属コイル塞栓術を施行したにもかかわらず瘤径は拡大し,術後1年目に破裂死した。中期に5mm以上の瘤径縮小が得られた症例はSCでは6例(55%),DCでは1例も見られなかった。【結語】弓部大動脈瘤に対するCGT併用TEVARは早期では脳梗塞の発生なく,手術死亡も見られず良好であった。中期ではSCの瘤径縮小は55%で得られ良好であったが,DCでは有意な縮小が得られなかった。SCは積極的に適応を拡大できるが,DCは75歳以上のhigh risk症例に限るべきと考えられた。